[原子力産業新聞] 2001年12月13日 第2116号 <3面>

[チェコ、オーストリア] テメリン原発を巡る協議終結

さらなる安全性改善で合意

チェコ共和国はテメリン原子力発電所 (各97万2000kW、VVER 2基) の 操業を巡って隣国のオーストリアと1年近く続けていたメルク協議が11月29日にようやく終結し、チェコはオーストリアに十分配慮して国内の原子力発電所で高い安全性が確保されるよう対処していくことを約束する一方、オーストリアはチェコの欧州連合 (EU) 加入協議におけるエネルギー分野の交渉で建設的な対応を取ることになったと発表した。

この合意はEUのG.フェアホイゲン拡大EU担当委員の仲介でチェコのM.ゼマン首相とオーストリアのW.シュッセル首相との間で成立したもの。各国が独自のエネルギー政策を選択する権利を有するという事実を尊重しつつ、ウィーン近くのメルク僧院で始められた協議によってテメリン発電所に関する情報交換が改善され、原子力発電について両国間の信頼のために徹底的に対話するという前提条件が創出されたと両国は強調している。また、原子力安全の情報交換に関する既存の二国間協定の修正で多国籍の専門家達がオープンに議論することは非常に有益という点でも合意している。

二国間協定の範囲内で同発電所の技術レベルを監視していく新たな方策については、チェコの副首相および外相、オーストリアの農務・森林・環境・水管理大臣が詳細に詰めていく計画。オーストリア側が懸念していた同発電所の安全性に関する問題点29件はすべて文書化され、このうち9件が解決済みと見なされた。また、ほかの10件については国際専門家委員会が「二国間協定の枠内で処置していくことが適当」と判断。残りの10件はメルク協議の過程そのものによって両国間の理解のギャップが狭められたとしている。

なお、チェコは今回の合意文書の法的な地位やEUのエネルギー関係についての立場が共通であるとの認識に基づき、同文書をEU加入協議に提出すると見られている。

テメリン発電所では1号機が昨年秋に国内送電網に接続されたが、非原子力部分のタービン性能で問題が見つかった。国営電力の CEZ はこの調整を完了した後、1年以上の時間をかけて試運転を行う予定。同2号機は来年初頭に燃料を装荷し、11月には起動する計画になっている。


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