[原子力産業新聞] 2001年12月13日 第2116号 <3面>

[IAEA] 事務局長、テロ対策で追加拠出要請

「新たに3000万ドル必要」

国際原子力機関 (IAEA) のM.エルバラダイ事務局長は11月30日、原子力関連施設・物質へのテロ攻撃に対する警備体制を強化することこそ世界が最も緊急に取り組むべき事項だと指摘するとともに、世界レベルで関連活動を実質的に拡大していく計画のために新たな拠出が必要だと訴えた。

これは理事会の演説の中で紹介されたもので、同事務局長はまず、潜在的に考え得る主な脅威として準国家組織による原子力テロ活動を挙げたほか、それらに対して IAEA が取るべき対応について説明。潜在的な脅威はその性質により、(1) 核兵器の入手 (2) 核兵器を製造したり放射線災害を引き起こすことが可能な放射性物質の入手 (3) 放射線源など放射線災害を引き起こすことが可能なその他の放射性物質の入手 (4) 放射線災害の原因となる原子力施設に対する破壊的な活動 −のカテゴリーに分類されると指摘した。

計画書ではまた、警備強化プログラムの実施には年間で IAEA のすべての財源の10〜15%増に相当する3000万〜5000万ドルが必要だと試算。エルバラダイ事務局長は、ここ数年間にわたる実質的な予算成長率ゼロ政策により IAEA の予算が近年、4000万ドルほど不足状態にある点に言及し、加盟各国に対しては「新たに出現した脅威」に対処するための拠出を要請した。

同事務局長はさらに、潜在的に考えられるすべての脅威に対処できるような、地球レベルの保安体制強化には数億ドル単位の経費が必要になると指摘。このような観点から、加盟国各国ごとの対応に加えて、二国間あるいは多国間の支援による対応が必要だと訴えた。そして、「これらの対策は世界全体を原子力テロから守るための保安政策とも言える」と述べ、そのための出費は手痛くても自らを守るという価値ある投資になるだろうと言明している。


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