[原子力産業新聞] 2002年1月7日 第2118号 <2面> |
[日本原子力学会] 社会・環境部会、刈羽村の事例巡りセミナー住民投票から学ぶ日本原子力学会の社会・環境部会 (部会長・田中靖政学習院大学教授) は12月18日、部会セミナー「刈羽村住民投票から学ぶこと」を東京・千代田区の日本教育会館一ツ橋ホールで開催した。刈羽村で実施された住民投票を事例に、非技術の分野でありながらも原子力の計画の進展にとって大きな影響を及ぼす地方における決定という問題について、講演ならびにディスカッションを行った。セミナーでは、司会進行役の田中靖政部会長からの開会挨拶に続き、柏崎商工会議所の内藤信寛専務理事と東京大学大学院法学政治学研究科の森田朗教授から講演がなされた。 内藤氏は刈羽村の住民投票の経緯と背景、賛成派・反対派の活動や争点について報告。今回の住民投票は、プルサーマル計画の是非を問うというよりも、刈羽村の政治的情勢に強く影響された点を強調した。その上で、プルサーマルの是非というような問題は、一般住民には判断の難しい問題であることなどから、住民投票には全く馴染まないとの考えを示した。 一方、森田氏は行政学の立場から、近年住民投票が要求されるようになった背景、住民投票制度設計上の論点について報告、実際に効果的な住民投票制度を構築することの難しさやパブリックコメントやコンセンサス会議など多様な住民参加の形態を検討する重要性などを述べた。 引き続き、会場との質疑応答が行われ、住民投票の対象範囲、事前活動の制約範囲、行政側の説明責任等について活発な意見交換が行われた。 |