[原子力産業新聞] 2002年1月10日 第2119号 <2面>

[新型炉開発] 国際協力プロジェクトで進む第4世代炉技術開発

ロードマップ作成へ

いわゆる ABWR、AP600 と呼ばれる改良型原子炉に続く、第四世代原子力システムの開発が国際的な協力プロジェクトとして進められている。

米国の提唱で2000年1月に始まった第4世代原子力システム (GEN-IV) 開発に関する国際協力プロジェクトなどの活動について昨年12月25日の原子力委員会に報告された。

日本でも原子力長期計画で革新炉を含めた次世代の原子力技術開発の促進が盛り込まれており、次年度予算でも革新技術開発等の強化にむけて予算措置がはかられることになっている。日本は国際的にみても高温ガス炉や超臨界圧炉、低減速炉、また乾式再処理などの革新的な技術開発については予算面を含めて技術基盤形成で先導的な立場ともいえるだけに、こうした国際協力プロジェクトでも先導的な役割を担う期待がもたれている。

第4世代炉技術開発に関する国際協力プロジェクトは、米国が地球温暖化問題への対応や原子力の技術力維持・発展が必要と判断し1999年に提案公募型の原子力研究イニシアティブ (NERI) の創設等の施策を展開するとともに、第4世代原子力システムの開発を提唱したことが契機となっている。

2001年1月に米国のエネルギー省 (DOE) が GEN-IV に関するワークショップを日本はじめ英、仏、韓国、南アなど9か国と IAEA や OECD/NEA といった関係機関の参加を得て開催。その後専門家会合等を重ねて GEN-IV に関する国際コミュニティ (GIF) を形成、昨年7月までに日本も GIF の憲章に署名し、参画している。第4世代炉技術については、水炉、ガス炉、液体冷却炉等の広範な炉概念を含む技術候補が検討対象。

GIF では参加各国の署名を経て正式なプロジェクトとして発足、昨年10月には米国で初めてのプロジェクトで実施される計画立案と実施枠組み等を話し合う政策グループ会合が開催され、2030年までの実用化を視野に入れた有望概念選択と研究状況等の整理を行うロードマップ作成を申し合わせた。ロードマップに関しては今月中にも第1次のドラフト案を作成、今年5月に中間報告、9月には完成させる段取りという。


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