[原子力産業新聞] 2002年1月10日 第2119号 <面> |
[住友重機械工業] GE横河メディカルとマイクロラボを発売PET検査用薬剤を自動合成住友重機械工業とGE横河メディカルシステム (GEYMS) はこのほど、PET (陽電子放射断層撮影法) 検査に使用される FDG という放射性薬剤を自動合成する装置「FDG MicroLab (エフディージー・マイクロラボ) 」を発売した。厚生労働省が医療用具として日本で初めて認可した FDG 合成装置となる。同装置の開発・製造は米ゼネラル・エレクトリック (GE) の医療機器部門であるGEメディカルシステム、輸入業務は GEYMS、国内の販売およびサービスは住友重機械が担当。大学病院や検診センター、先端の研究機関などを主対象に初年度20台の国内販売を目指す。価格はオープン価格。 PET 装置は、超短半減期の放射性同位元素 (RI) を用いた薬剤を患者の体内に静脈注射や吸入により投与し、薬剤が体内を移動して心臓、脳などの臓器やがんに集まる様子を画像化する装置で、X線 CT や MRI などが生体の形態を画像化するのに対し、PET は代謝や血流など生体内の生理学的・生化学的な機能を捉えて画像化する。現在、心臓医学や腫瘍医学、神経医学などの分野において研究および臨床に使用されているが、活発に活動するがん組織を明瞭に画像化できるため、特にがんの早期発見に有効。PET 検査には、放射性同位元素を容易に製造する加速器と、この放射性同位元素を人体に投与可能な薬剤に合成する装置および体内に投与された放射性薬剤が集積する様子を画像処理する PET 装置が必要となる。 今回発売する「FDG MicroLab」は、FDG という放射性薬剤を自動合成する装置で、合成容器を含む部品を1回ごとに取り替えるディスポーザブルカセット方式を採用、合成のための準備時間を従来の装置の最大3分の1に短縮。またカセットを取り替えることにより合成直後の繰り返し合成を可能にした。高品質の FDG を安定的に製造できるため、FDG-PET の臨床用として最適な合成システムとなる。 国内の PET 装置の市場規模は年間約65億円と、近年臨床使用の増加により急激に伸びており、FDG 合成装置が日本で初めて販売許可が下りたことで、今後も PET 装置の市場は加速度的に成長することが見込まれている。また、米国では既にがん診断に PET の保険適用が行われており、現在約600台の PET 装置が稼働している。 |