[原子力産業新聞] 2002年1月17日 第2120号 <3面>

[米国] 線源輸送で被ばく事故

INES でレベル3

昨年末にスウェーデンのスタズビック社から米国のニューオリンズまで工業用放射性同位元素のイリジウム192が輸送された際、国際原子力事故評価尺度 (INES) でレベル3に評定される被曝事故が起きていたことが明らかになった。

米国運輸省が3日付けでスウェーデン放射線防護研究所 (SSI) に伝えたところによると、366テラ・ベクレル (TBq) のイリジウム192が入った容器の側面から25メートル離れた位置で4ミリシーベルト (mSv) /時、もう片方の側面から5メートル離れた位置で0.01mSv/時の放射線レベルだったという。このイリジウム線源はスタズビック社の研究炉で生産されたもので、昨年12月27日にBタイプの容器に封入されてスウェーデンを出発。パリ経由でニューオリンズに到着しているが、出発時点の放射線レベルに異常はなかったとしている。

しかし、米国でのピックアップ地点から1〜2マイル離れた最終目的地で放射線検出器が示した数値は1.6mSv。輸送を担当した従業員がルート全体を通じて被曝した合計線量は約3.4mSv にのぼったという。従業員は輸送当時、放射線検出器は故障していると思い込んでおり、その後さらなる計測を実施。輸送容器は調査のため直ちに厳重な保管場所に移された。

輸送容器の外見は無傷で、これまでの調査によると輸送期間中の被害は報告されていないが、米国原子力規制委員会 (NRC) では継続して調査する予定だ。SSI も輸送ルートの分析およびスタズビック社の施設全体の検査を計画しているところで、現在、同社からの線源輸送はすべて一時的に停止されている。


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