[原子力産業新聞] 2002年1月24日 第2121号 <4面>

[エネ情報工学研究会議] 「エネと原子力」で世論調査

各項目、数字の低下顕著

エネルギー・情報工学研究会議 (向坊隆理事長) は17日、昨年11月に行った「エネルギー・原子力に関する世論調査と国際比較」のとりまとめ結果を公表した。過去の調査に比べ、エネルギー問題や環境問題への関心が低まっているほか、将来の電源見通しや発電所建設の必要性などで原子力に対する意識が過去最低になるなどの結果が現れた。

調査は1989年に第1回目が実施されて以来、今回で8回目になる。継続的に行い、世論の長期にわたる動向と変化を把握・分析することを目的としている。実施地域を全国200地点と原子力サイト50地点に分け調査していることから、双方の認識の類似性や相違も対照的に理解することができる。

今回は主な調査項目として、エネルギー・環境問題、電力・原子力、原子力発電の安全性、エネルギー・原子力発電の情報源 −などのほか、核燃料リサイクルの賛否、プルサーマルの賛否、原子力発電の温暖化防止効果への評価について国民意識を調べた。

調査結果をみると、「エネルギー問題への関心がある」割合は全国で80%、サイトで84%の数字だが、8回の調査を通して最低を記録した。

原子力に関連した事項では、「将来の有用エネルギー源」として原子力を選んだのは、全国では2番目に多く30%、サイトでは1位の42%だった。ともに前回より8ポイント下がり過去最低の水準を示した。今後の主要電源として、「原子力発電の重要性」を認めるとした回答は全国で73%、サイトで80%という数字だった。「原子力が今後10年間の主要電源」とする回答は、全国では前回までの50%台から今回は40%に、またサイトでもこれまでの6割前後の数字から50%に下がった。

そうした中で、原子力発電建設を「推進する」と答えた割合も、全国で25%、サイトで29%となり、それぞれ7ポイント、9ポイント低下した。また、原子力発電の安全性確保が可能という回答の割合は全国で初めて5割を切り47%、サイトでは60%で、ともに最低だった。

現在の原子力の主要課題に関する意識調査では、核燃料リサイクルに「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合計した人の割合が42% (全国) と39% (サイト) だった。プルサーマルについては、賛成の合計が前回とほとんど変わらないのに対して、「反対」と「どちらかといえば反対」の回答合計が28% (全国) と37% (サイト) になり、特にサイトでの反対は12ポイント上昇する結果になった。このほか、高レベル廃棄物地層処分に対する答えも、賛成の割合が大きく低下するなど、国や電力会社の原子力政策に対する国民の見方が厳しくなっている傾向が明らかになった。


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