[原子力産業新聞] 2002年2月14日 第2124号 <1面>

[九州電力] 健全性評価を提出 熱出力一定運転にむけ

昨年12月に経済産業省から、原子力発電所における「定格熱出力一定運転」の導入手続きが明示された通達が制定された事を受け、九州電力は8日、同運転方法実施に向けた「発電設備の健全性評価書」を、経済産業省に提出した。

定格熱出力一定運転は、原子炉の熱出力を原子炉設置許可に認められた定格値で一定に保って運転する方法。冬期のように海水温度が低く発電所の熱効率が向上する時期には、原子炉の熱出力を下げなければならない、現在行われている「定格電気出力一定運転」と比べ、年間平均で約2%の発電電力量が増加するメリットがあり、実際に海外では一般的に行われている。

九電では、定格熱出力一定運転は安全を維持しながらエネルギーの有効活用が図れ、さらにはCO2排出量を削減出来ることから、同社の保有する全プラントにおいて実施する方針を決定。経済産業省の通達に基づき、玄海1、2号機および、川内1、2号機の計4基について(1)タービンミサイル評価(2)蒸気タービン設備の健全性評価(3)電機設備の健全性評価−を行い、全てについて安全性に問題のないことを確認したうえで、同日その評価書を、経済産業省に提出した。今後は地元の理解を得た上で順次、実施していく方針だ。なお今回評価の行われなかった玄海3、4号機についても、準備が整い次第、手続きが開始されるという。

同運転方法をめぐっては、実施について評価を行っていた総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会で、昨年12月7日に「安全な実施が可能」との結論が出され、また12月17日には、経済産業省原子力安全・保安院から導入手続きなどを明示した通達が出されるなどしていた。


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