[原子力産業新聞] 2002年2月14日 第2124号 <2面>

[経済産業省・資源エネルギー庁] エネ国民会議で生産・消費地が対話

経済産業省・資源エネルギー庁が主催する「エネルギー・にっぽん国民会議」が9日、東京・有明の東京国際展示場で開かれた。評論家の木元教子氏がコーディネーターをつとめ、平沼赴夫経済産業相、木村守男青森県知事、平山征夫新潟県知事、石原慎太郎東京都知事らがパネル討論に参加した。原子力をはじめとするエネルギー問題をめぐって、電力の生産地と消費地という立場から議論を行った。参加応募は定員の1000名を大幅に超える約4000名の応募があった。議論は事前に行われたエネルギー世論調査をもとに進められ、日本のエネルギー事情や地球規模の環境問題への対応等を論点に議論が進められた。

パネル討論のなかで、平沼経済相は、日本のエネルギー自給率の低さやエネルギー消費のなかでの電力比率の向上、さらには地球温暖化への対応等の諸状況を紹介したうえで、「発電量の約3分の1を占めている原子力は、安全を確保しながら避けて通れない」との認識を示した。石原知事は、「人類の存在に対する責任をそれぞれの分野で果たしていく必要がある」との基本認識を示した上で、現在文明において原子力が近代文明の重要な発明である火薬に相当すると位置付けた。また石原知事は、「FBR(高速増殖炉)開発は人類の夢であり、商業的な価値は高い」として、今後の開発に期待感を示した。

木村知事は議論のなかで、「エネルギー自給率を高めなけれは、日本の持続的・安定的な発展の基盤は弱くなる」として「プルサーマル計画は核燃料サイクル政策の要」との認識を示し、再処理施設の建設等、日本の核燃料サイクル政策に協力している立場から、着実な計画の進展が必要との考えを示した。

また平山知事は「消費地域は、住民同士の対立まで抱える立地地域の不安や苦労をもっと分かってほしい。地球環境問題を踏まえた国民的な合意形成が必要」と強調してプルサーマルヘの国民的な理解を訴えた。

また原子力の安全確保をめぐっては、木村知事が、「故障があり得る、というのは駄目だ。故障しても防護設計で安全性が保たれるというのは結果論にすぎない。政府や関係者の良心の問題だ」と指摘する一方、石原知事は「人間がつくった技術体系で、故障のない技術はあり得ない。最小限にくい止める算段を重ねることで完ぺきに近づく」との考えを示した。これについて平沼経済相は「木村知事の指摘は、誤りがないような心構えであたれということだと受け止めた」として、あらめて「原子力は安全性確保が最重要課題」との認識を示した。


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