[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <2面>

[サイクル機構] MOX利用国際セミナー開催

核燃料サイクル開発機構は18、19日の両日、東京都内のホテルで「MOX利用国際セミナー−原子力の有効利用に向けて理解を深めるために」を開催した。電気事業連合会と日本原燃が共催した。同機構がこれまで高速増殖炉、新型転換炉開発のなかで培ってきたMOX燃料利用に係る技術蓄積や日本原燃のMOX加工施設計画などを紹介するとともに、フランス、ベルギー、英国のMOX燃料加工の現状を聞き、MOX利用に対する理解を深めた。

初日に基調講演として藤家洋一原子力委員会委員長が「人類、文明、原子力そして核燃料サイクルの意義」と題し、文明論的な観点を踏まえて、原子力とそのなかでの核燃料サイクルの位置付け等について考えを述べた。このなかで藤家委員長は、エネルギー、情報、物質、技術という4つの観点から、人類の築いてきた文明の足跡を振り返えるとともに、今後リサイクル文明にむけて、「原子力がいかにバランスよくそれを支えていくのかが問われている」との認識を示した。また「夢と長期展望をもち、バランスを考えながら開発を進めていくことが重要であり、リサイクル文明をめざして段階的に開発していくことが大切」との見解を示した。またプルサーマルの導入に関しては、従来すでに既存の軽水炉で約3割の発電にプルトニウムが寄与していることを示した上で、プルサーマル計画の実現によってプルトニウムの発電割合が5割を超えることから「初めて原子力発電でプルトニウムが主役となる時代を迎える」とその意義を位置付けた。

この後、核燃料サイクル機構の大島博文プルトニウム燃料センター長は日本におけるMOX燃料開発について講演し、「わが国でも約35年にわたるMOX燃料開発の歴史がある」こと、またその間に「約170トンの照射用、高速増殖炉用、新型転換炉用MOX燃料生産の経験がある」などの研究開発の実績を強調。「軽水炉用の核燃料サイクルは実証されている」との見解を述べた。

またフランス電力公社のM.ドゥベス燃料本部副本部長はフランスにおけるMOX利用の現状と今後の燃料サイクルの展望について講演し、1987年に同国のサンローランB炉に初めてMOX燃料を装荷以来、90万キロワットクラスのPWR型原子炉16基にMOX燃料導入を拡大してきており、「燃料破損はみられていない」など、良好に推移していることが報告された。

さらに、ベルギーのベルゴ二ュークりア社で広報担当役員をつとめるA.デパッカー氏も同社の核燃料加工施設等の経験を紹介し、1986六年以来MOX燃料製造を始めて、25万本を超える燃料棒を製造し、再利用したプルニウムは28トンに上るなどの状況を説明。これまで「加工に起因する燃料の破損はみられていない」などと実績を述べた。


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