[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <2面>

[中部電力] 浜岡炉水漏洩は応力腐食割れ

中部電力は20日、浜岡原子力発電所1号機の制御棒駆動機構ハウジング部からの漏えいについて、「き裂部分に粒界型応力腐食割れの特徴が確認された」などの調査状況をまとめて国に報告した。

浜岡原子力発電所1号機(BWR、定格出力54万キロワット)は、昨年11月に高圧注入系から余熱除去系熱交換器に分岐している蒸気配管のエルボ部の破断に伴う原因調査を行うため格納容器の点検を実施したところ、制御棒駆動機構(CRD)1本の下部付近から数秒に一滴程度の水が滴下しているのが確認されたもので、滴下部位の特定と原因の調査が実施されていた。

これまで原因調査として中部電力は、き裂が確認されたスタブチューブ下部溶接部からのボートサンプル(損傷部等から採取するサンプル)を採取し、外観や破面等の観察や硬さ測定および化学分析等を行う金属調査を実施、また原因調査の一環として、他の88本のスタブチューブ下部溶接部について水中カメラによる目視点検を行った。

金属調査の結果では、き裂は粒界破面を示していた。また溶接金属および母材(スタブチューブ)とも多数の枝分かれを伴って粒界にそって進展しており、粒界型応力腐食割れの特徴が確認されたとしている。応力腐食割れは、材料、引っ張り応力、腐食環境の相互作用で材料にき裂が発住・進展する破壊現象。

なお溶接欠陥等の異常はみられなかった。

また、他の88本のスタブチューブ下部溶接部の目視点検の結果、いずれも異常の無いことが確認された。

中部電力では、引き続きモックアップ試験、応力解析等を行い、原因の究明を進めていく方針。


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