[原子力産業新聞] 2002年2月28日 第2126号 <1面>

[日本原子力発電] 世界初のAPWR建設へ

日本原子力発電・敦賀発電所3、4号機の設置に係わる経済産業省主催の第一次公開ヒアリングが22日、敦賀市民文化センターで開かれた。800名以上が参加した会場では、事業者の日本原電が行った設置計画についての概要説明に対して、地元敦賀市および隣接町村から選ばれた20名が意見を陳述した。会の進行に影響を及ぼす混乱は見られず、議事は無事終了。世界初となる改良型加圧水型軽水炉(APWR)建設に向けた大きな一歩を踏み出した。

敦賀3、4号機はツイン型のAPWRで、出力153万8000と世界でも最大規模の炉型となる。計画によると、3、4号機とも2004年度に着工、運転開始は3号機が09年、4号機が10年に予定されている。

一次公開ヒアが開かれたのは、2000年10月の中国電力・上関原子力発電所1、2号機新設計画以来、約1年4か月ぶりで、経済産業雀になってからは初めての開催。今回、日本原電から木下文夫社長特別補佐・敦賀地区本部長、藤江孝夫副社長、目黒芳紀常務取締役らが出席。同3、4号機計画の概要や設置の必要性などを説明した。これに対して、事前に応募した36名の中から居住地や意見内容を考慮して選ばれた陳述者20名からは、新規大型電源増設の必要性や安全確保に対する考え方、環境影響、地域振興対策などで多様な意見が述べられた。

敦賀3、4号機は現在稼働している最大規模のPWRより約30%出力が大きいことから数名の陳述者から安全確保を心配する意見が出されたが、原電は一次冷却材の流量を従来の1.3倍に増加することや中性子反射体の採用、緊急時炉心冷却設備の改良等、従来のPWRにはない特徴を挙げ信頼性を高めた安全設計が施されていることを説明、理解を求めたほか、「将来、一層電力の自由化が予想される中で電力を買い取ってもらう保証があるのか」といった質問に対しては、中部電力など3社への供給が合意入れている点を紹介した。

一方、長引く経済不況の影響が深刻な状況で、新規2基の建設による地域経済の活性化を期待する声も聞かれたほか、隣接町村への地域振興面での充実を訴える要望意見が出された。原電は、「広域的な立地地域に対して、発展に寄与できるよう取り組みたい」とするとともに、建設により約1200億円の経済効果や約6600人の雇用が誘発できるとした試算結果を説明。発電所建設が地域経済にもたらすメリットを訴えた。

建設費用を抑え経済性を追求することで「安全対策に影響が出る」とする懸念が地元住民の一部から表明されたことに対して原電は、設計・建設方法の合理化、発注方法や金利負担低減の工夫など努力を行うことで、コストダウンと安全確保との両立が可能な点を強調した。

このほか、陳述では発電所の耐震性や温排水が水産資源.に及ぼす影響についても多くの質問が出されるなどして、約30分遅れで20名すべての陳述が終了した。

敦賀3、4号機計画は一次ヒアで出された意見を参考にした上で、次の重要なステップである総合資源エネルギー調査会電源開発分科会への上程を目指すことになる。


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