[原子力産業新聞] 2002年3月7日 第2127号 <1面>

[アジア協力フォーラム] 着実な成果ふまえ新たな課題協議

我が国をはじめとする近隣アジア諸国が地域協力を推進するための枠組「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」の第3回コーディネーター会合が6日、東京都港区の東京グランドホテルで始まった。各国参加者は3日間の日程で、9分野からなる協力プロジェクトの実施状況をレビューするとともに、新たに寄せられたプロジェクト提案などを集中的に検討し、今後のより実効的な協力展開に向け足場固めを行う。

FNCAには、日本、オーストラリア、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの9か国が参加。各国から選ばれたコーディネーターは毎年、協力活動の評価や調整を図るほか新規プロジェクトの導入などを総合的に検討することになっている。我が国は町末男原子力委員会参与がコーディネーターをつとめている。

3日間にわたる会合の開会で、遠藤哲也原子力委員長代理が原子力委員会を代表してあいさつし、実り多い議論に期待を示したのに続いて、昨年11月29日に東京で行われた第2回FNCA大臣級本会合の概要が報告され、大臣級会合での議論を踏まえ、具体的なレベルでの協力活動への反映や新たな課題を討議することを確認した。

会議初日の議題では、(1)研究炉利用(2)放射線農業利用(3)放射線工業利用−の各プロジェクトの進展状況が話し合われた。その中で今年度計画として、研究炉で照射した放射性モリブデンを利用した核医学診断用RI製造のための実証試験や耐乾燥性穀物の放射線育種研究の実施などが提案された。

会合は2日目から、医学利用や原子力広報、人材養成、原子力安全文化、廃棄物管理−の各プロジェクトのレビューと今後の活動方策を話し合う。各国での原子力に関するアンケート実施や原子力教育、人材の実態を調査する提案も出される模様。そのほか、「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」と「アジア原子力科学技術大学」の2テーマについても昨年に引き続き議論するとともに、新たに提案のあった「海洋放射能モニタリング」を取り上げ意見交換を図ることにした。


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