[原子力産業新聞] 2002年3月7日 第2127号 <1面>

[2法人統合準備会議] 有機的な連携必要

文部科学省の原子力二法人統合準備会議(座長・青山丘文部科学副大臣)は5日、東京都内で第2回会合を開き、将来の新研究開発法人が大学や産業界とどのように有機的な連携を図るべきかなどに焦点をあて関係者から意見を聞いた。

会合では、長尾真東京都大学学長が「大学と連携し調和の取れた研究体制を構築するべき」だとし、統合後の新法人が大学との施設の共同利用促進に十分配慮するよう求めたほか、効果的な連携を図るために新法人では自主的で自由な発想による研究が可能になる運営が必要だと指摘した。

このほか、新法人には日本全体の研究炉からの使用済み燃料や廃棄物の処理処分を一元的に行う機能が求められるとの考えも紹介した。

東京工業大学の相澤益男学長は、統合を我が国の科学技術政策の前進と位置づけるとした上で、新しい研究開発法人には「高度な専門実務教育を担う原子力人材育成と外部に開かれたオープン−ラボラトリーの役目を備えた原子力教育研究連携システム」を期待する意見を述べた。

一方、産業界からは西室泰三日本電機工業会会長と児島伊佐美電気事業連合会副会長が出席して、「産業界との意見交換や人材交流も積極的に行うことが重要」(研究開発の費用対効果を重視して、項目を見直した上で国際的分業も必要」「旧法人の債務を適切に処理した上での新法人設立を。将来の廃棄物処分費用も別途確保すべき」−などといった考えを述べた。

こうした大学界や産業界の意見に対して、委員の間からは、大学院レベルの研究者が新法人で案際の機器に触れることを通じて研究への魅力を多く感じてもらうべきとする意見のほか、大学で生まれた発想を新法人が「インキュベーター」として産業技術へ育成する役割を望む意見や、国が両法人の欠損金の処理を金面的に支援することが不可欠だなどとする意見が出され、この日の議事を終えた。

統合準備会議は、来月の次回会合で原子力安全委員会や立地自治体などから意見を聴く予定にしている。


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