[原子力産業新聞] 2002年3月14日 第2128号 <1面>

[原子力安全・保安院] 設備健全性に問題なし

経済産業省の原子力安全・保安院は8日、電気事業者から提出されていた「定格熱出力一定運転に伴う発電設備の健全性評価」の確認を終了し、同日、各電力に対して確認通知を行った。これにより、わが国原子力発電所における定格熱出力一定運転実施に向けた、大きな一歩が踏み出されたことになる。

今回確認が終了したのは、健全性評価書が1月28日に提出された関西電力の美浜2号機(PWR、50万キロワット)、高浜2号機(PWR、82万6000キロワット)、大飯4号機(PWR、118万キロワット)、四国電力の伊方1、2、3号機(PWR、1、2号機56万6000キロワット、3号機89万キロワット)および、2月8日に提出された九州電力の玄海1、2号機(PWR、各55万9000キロワット)、川内1、2号機(PWR、各89万キロワット)の計10基、742万6000キロワット。

定格熱出力一定運転とは、原子炉の熱出力を原子炉設置許可で認められた最大値である定格値で一定に保って運転する方法。冬期のように海水温度が低く発電所の熱効率が向上する時期には、原子炉の熱出力を下げなければならない「定格電気出力一定運転(現在行われている運転方法)」と比べ、年間平均で約2%ほどの発電電力量が増加するメリットがあるばかりでなく、実際に海外では一般的に行われている。

同運転方法をめぐっては、実施について評価を行っていた総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会で、昨年12月7日に「安全な実施が可能」と結論。また同年12月17日には、経済産業省原子力安全・保安院から導入手続きなどを明示した通達が出され、これを受けた電力数社は、定格熱出力一定運転を既存の原子力発電ユニットで行った場合の安全性評価を取りまとめた「健全性評価書」を、保安院へ提出していた。


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