[原子力産業新聞] 2002年3月14日 第2128号 <2面>

[原子力安全・保安院] 本番さながらブラインド訓練

経済産業省原子力安全・保安院は5日、2001年度第2回目となる院内原子力防災訓練を実施した。ブラインド(事前に訓練シナリオが明らかにされない状態)で行われる同訓練は、保安院の危機符理能力の向上を図るとともに、経済産業省防災業務マニュアル等の検証を行うのがねらい。今回の訓練では、特に防護対策決定プロセスの確認とその判断訓練および、オフサイトセンター、内閣府との緊密な連携を重点に実施され、会場となった東京・千代田区の経済産業省では本番さながらの緊張感の中、様々な訓練が実施された。

内閣府、文部科学省、北陸電力などの協力を得て実施された訓練は、「北陸電力・志賀原子力発電所において、原子炉運転中に非常用炉心冷却装置(ECCS)の作動を必要とする原子炉冷却材の漏洩が発生。この状態を受けて原子炉停止、ECCSが作動するも、ポンプが故障し炉心が露出し、その後溶融する」との想定事故(ブラインド)のもと、実施された。

午前8時の訓練開始とともに経済産業省には、想定事故に関する様々な情報が集積。これらをもとに事故の概要、今後の進展の可能性等が分析されたほか、他所との連絡、プレス対応など様々な訓練が実施された。

そして午前10時、想定事故が「ECCSが停止し、原子力災害特別措置法の規定に該当する事象となったため、原子力緊急事態宣言を発令」とのフェーズに進んだ際、経済産業省内に災害対策本部が設置され、近隣地区住民の避難・屋内退避等対策の検討などを開始。その後「炉心が露出し燃料の損傷が開始している」とのフェーズに入り、政府原子力災害対策本部は近隣の志賀町志加浦地区住民等に対し、「念には念を入れて早めに避難を開始する」ことを決定。その段階で全ての予定は終了となったことから、14時、訓練は終了した。


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