[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <2面>

[日本電力調査委員会] 年平均1.2%の伸び

日本電力調査委員会は5日、2011年度時点の総需要は1兆1258kWh、年平均伸び率は1.2%になるとの見通しを示した2002年度(2000年度−2011年度)の長期の電力需要想定を発表した。今回の調査で前提とした経済指標では、人口の伸びを昨年度見通しを若干下回る年平均0.04%と見込んだ。また、国内総生産(GDP)は至近の景気動向や政府経済見通し等を総合勘案し、昨年度見通しの1.8%を下回る1.6%の実質経済成長率を見込んだほか、鉱工業生産指数(IIP)を至近年における景気低迷の影響を反映して、昨年度見通しの1.5%を大幅に下回る0.6%と想定している。

同想定によると、特定規模需要は経済成長率の鈍化に加え、電力多消費型産業から電力寡消費型産業への構造変化や省エネ対策の推進等を織り込み、年平均増加率0.5%(2011年度需要2326億kWh)。一方、特定規模需要以外の分野の伸びは同1.6%(同7337億kWh)で、両者を合計した流通対応需要(電力10社計の需要電力量)は同1.3%(同9663億kWh)の伸びと想定した。この流通対応需要にその他事業者を加えた電気事業用計は9849億kWhとなり、さらに自家発自家消費を加えて総需要電力量を1兆1258億kWhと想定したもの。

特定規模需要以外の需要の内で家庭用の電灯は、テレビ・冷蔵庫などの大型化や温水洗浄便座等のアメニティ志向の高まりを反映した機器の普及拡大などの増加要因があるものの、人口の伸び率鈍化や省電力機器の普及増等を考慮して、年平均増加率を1.5%(2011年度需要電力量2998億kWh)と見込んだ。

業務用電力については、サービス経済化・情報化の進展等の増加要因はあるものの、省エネ型ビル・機器の普及拡大などの減少要因を織り込み、同2.6%(同2087億kWh)と想定した。小口電力は公共その他部門を中心に非製造業は安定した増加が見込まれるものの、製造業部門の生産規模の縮小や省エネ対策の強化等の減少要因を織り込み、同0.5%(同12211億kWh)としている。

一方、蓄熱システムの普及拡大や冷暖房兼用エアコンの普及増等の負荷平準化などを織り込み、電力10社計の2011年度時点の最大需要電力は1億9870万kW(年平均増加率1.4%)、その他事業者を加えた電気事業用の合計最大需要電力は2億103万kW(同1.4%)と想定した。


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