[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <3面>

[ドイツ] ブルンスビュッテル原発、冷却系の配管破断でレベル1

ドイツのブルンスビュッテル原子力発電所(86万6000キロワット、BWR)で2月に発見された炉心スプレー系配管破断はサイト内外に影響がなかったことから、今月8日、国際原子力事故評価尺度(INES)で暫定的にレベル1の評定声受けた。

この事象の発端は昨年12月14日に同発電所格納容器内で少量の放射性蒸気漏れが検知されたこと。当初、発電所を運転するブルンスビュッテル原子力発電会社(KKB)は原因検査のため出力を低下させようとした。しかし一部のメディアは、発電所の所有会社であるハンブルク電力(HEW)会社がこれを遮ったため、直接的な原因の判明と原子炉の停止が2月18日までずれ込んだとしてHEW社を激しく非難していた。

3月7日付けの声明でHEW社は、このような報道をきっぱり否定し、「蒸気漏れがあった当時のシフト・リーダーは安全基準に従って原子炉出力を直ちに50%まで下げており、入手情報を詳しく分析した後、初めて原子炉を定格出力に戻した」と主張。緑の党を率いる連邦環境・原子炉安全省(BMU)のJ・トリッティン大臣が「当該事象の詳細は2月になるまで連邦当局に報告されておらず、同発電所運転員の信頼性には問題がある」と発言したのに対しても、KKBは当時の入手情報に基づいて運転を継続したこと、2月まで原子炉停止の判断を下さなかった理由としては、1月10日に原子炉検査局の北部技術検査協会(TuV)が「安全技術上重要ではない」と発表していた点を強調している。

なお、BMUは2月25日に今回の事象について詳細に公表。「炉心スプレー系配管部は2〜3メートルにわたって完全に破断。根本的な原因は未だ不明だが、配管内部の水素爆発によって引き起こされた可能性がある。BWRの一次冷却系内部では水素と酸素が分離発生するが、水素は通常、冷却材回路の再結合器によって除去されることになっている。当該事象は水素と酸素の爆発性混合気が発生したというだけでなく、爆発が圧力容器近くの配管で起きたことからも安全技術面で重要な意味がある」との見解を表明していた。


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