[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <4面>

[insight] C02削減効果認める

環境保護庁(EPA)によると、1999年には電力消費量が増加するとともに米国経済が堅調な伸びをみせたにもかかわらず、米国の電力会社による二酸化炭素の排出量は下がった。その大きな理由の1つは、原子力発電所による発電電力量が大きく増加したため、これが化石燃料の消費量を増やさすに済んだためである。

EPAは昨年はじめに公表した温室効果ガスの排出に関する報告書の中で、原子力発電所による正味の発電電力量は1998年から99年にかけて8%増加し、発電所の設備利用率とともに記録的な水準に達したと指摘している。原子力発電所の効率をはかる物差しとなる平均設備利用率は、1998年に79.5%だったものが99年には79.5%に上昇した。

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)によると、米国の原子力発電所で設備利用率が上昇していることが、米国全体の発電システムの効率向上に寄与している。原子力発電所の効率向上とそれによってもたらされる発電量の増加のおかげで、米国の原子力発電所は設備容量でみれば全体の12%に過ぎないか、発電量では全体の20%を2000年に供給した、とEIAエレクトリック・パワー・アニュアル2000は指摘している。また、EIAの報告書は、「原子力発電所を運転するためのコストは、他の電源と比べても最も小さいため、高い水準の出力で連続的に運転されるペース□ード電源である」とも述べている。

米国で稼働中の103基(1億117万キロワット)の原子力発電所は昨年7月、95%という印象的な設備利用率を記録した、とEIAは指摘している。EIAは、こうしたことが発電所で化石燃料を使用することに大きな意味合いを持っているとしている。原子力発電所の1年間の設備利用率が1%上昇することによって、石炭なら430万トン、石油なら1400万バーレル、天然ガスなら890億立方フィート、年間消費量を減らすことができることになる。

EIAによると、原子力発電は燃料コストが小さいため火力発電所にとって代わる場合がある。火力発電所の代わりに原子力発電所を用いることのもう1つの動機は、二酸化炭素や二酸化硫黄、窒素酸化物の排出最の削減である。EIAは、「原子力発電所は二酸化硫黄も窒素酸化物も排出しないため、電力会社が大気汚染規制をクリアーすることをめざした戦略にとってはとくに重要となる」と指摘している。

EIAの報告書はhttp://www.epa.gov/oppeoeel/globalwarming/publications/emissions/us2001/index.html から入手できる。また、EIAの報告書は、から入手できる。


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