[原子力産業新聞] 2002年4月4日 第2131号 <3面>

[IAEA] テロ防止で行動計画

国際原子力機関(IAEA)の理事会は3月19日、原子力施設や放射性物質をテロ活動から世界レベルで防護するための行動計画を原則的に承認し、原子力テロに対する最初の防衛線は強力な放射線防護対策であるとの認識で一致した。

テロ対策の実質的な方策や適用方法は加盟国ごとに異なっているが、国際的な放射線防護の枠組み強化が必要なことは広く認識されているとIAEAは指摘。M・エルバラダイ事務局長も、「新たな行動計画によって加盟国それぞれが負う安全保障に対する第一義的な責任が減じるられるわけではなく、原子力の保安強化上、国際的な協力が欠かせない分野で各国の取り組みを補い、後押しするためのものだ」と強調した。

この計画を支援する特別基金のために、すでにオーストラリア(10万ドル)、英国(35万ドル)、日本(50万ドル)、オランダ(25万ユーロ)、スロベニア(1万4,000ユーロ)、および米国(100万ドル)が資金の提供を表明。フィンランド、フランス、ドイツ、インド、ルーマニア、トルコは専門家や技術の提供などの形で同計画への支援を約束した。IAEAとしては同計画におけるプログラムの運営に年間1,200万ドル(15億3,000万円)、このほかIAEAが緊急時の保安対応能力を高めていくために年間2,000万ドル(26億7,000万円)が必要と見積もっており、同理事会は緊急時対応のための拠出を全加盟国に呼びかけている。


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