[原子力産業新聞] 2002年4月11日 第2132号 <2面> |
[NSネット] トップセミナー開くニュークリアセイフティーネットワーク(NSネット)は5日、2002年度トップセミナー、を開催した。第3回目となった今回は、宇宙開発事業団理事長の山之内秀一郎氏および、ジャーナリストの木元教子原子力委員による講演が行われ、会場となった東京・千代田区の経団連会館には約100名が参加し、熱心に聞き入っていた。 冒頭の牧野昇理事長の挨拶に引き続き、JR出身の山之内氏が講演「鉄通から宇宙へ、信頼性との戦い」を実施。戦略的安全対策では大事故の予兆と思われる幾つかの事象を見抜くことにより、当該システムの弱点を把握し、そこを狙った重点的対策を取ることが安全対策の王道であると強調。加えて安全の基本としては、精神論も大切だが安全システムの確立と、安全尊重の風土の醸成が重要であるなど、JR時代の体験を中心に、戦略的安全対策などについて具体的な紹介を行った。 続いて「メディアトレーニングの必要性」を講演した木元原子力委員は、ジャーナリストの立場から「市民の理解を得るための、メディア対応のあるべき姿」を説明。 各企業とも「広報が国民との接点」との認識を持ち、その重要性は理解してはいるものの、まだ対応は十分ではないとして、(1)広報を行う前に、広く市民の声を聴く「広聴」を行う(2)広報で流した情報を市民がどう受け止めたかをウォッチする--ことなどの必要性を挙げるとともに、危機管理の一環として、正確な情報を伝達するためのメディアトレーニングを受けることが必要とした。また同氏は、安全対策など市民に知ってもらいたい情報は、自然体な自分の言葉で説明することが大切とするとともに、メディアによる事実と異なる情報や偏向報道などといったものには、しっかりと反論を試みることが大切とした。 トップセミナーは、NSネットの行う安全文化普及活動のひとつ。同ネットの会員会社の経営トップおよび事業所長級といった幹部を対象に、毎年1回開催されている。 5日にはトップセミナー開催に先立ち、NSネットの第7回理事会および今年度の総会が開かれ、理事会では2010年度の活動状況の報告が行われたほか、2002年度事業計画案、評議員の専任案などを含む、今年度の総会議案が審議、承認された。 また総会では、昨年度の事業報告および今年度の事業計画の決定などが実施された。 |