[原子力産業新聞] 2002年4月18日 第2133号 <1面>

[四国電力] 伊方発電所、熱出カ一定運転を開始

発電効率向上に向け前期実施へ

四国電力は16日より、伊方発電所の効率的運用を図る観点から、定格熱出力一定運転を、伊方発電所2・3号機 (各PWR、2号機56万6,000kW、3号機89万kW) において開始した。

定格熱出力一定運転は、CO2 の排出量削減に貢献出来るものであることなどから、全ての原子力発電所において実施する方針を打ち出した同社は1月28日、伊方発電所1・2・3号で定格熱出力一定運転を実施した際の発電設備の健全性評価を、経済産業省へ提出していた。そして3月8日には同省より、「その内容の妥当性の確認を終了した」との許可証を受領。その後諸準備が整ったことから、16日から定格熱出力一定運転に入った。なお伊方1号機については、現在実施中の第20回定期検査の送電開始日 (23日) から、定格熱出力一定運転に入る予定だ。

定格熱出力一定運転とは、原子炉の熱出力を原子炉設置許可で認められた最大値である定格値で一定に保って運転する方法。冬期のように海水温度が低く発電所の熱効率が向上する時期には、原子炉の熱出力を下げなければなりない「定格電気出力一定運転 (現在行われている運転方法)」と比べ、年間平均で約2%ほどの発電電力量が増加するメリットがあるばかりでなく、実際に海外では一般的に行われてきている。

同運転方法をめぐっては、実施について評価を行っていた総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会で、昨年12月7日に「安全な実施が可能」と結論。また同年12月17日には、経済産業省原子力安全・保安院から導入手続きなどを明示した通達が出され、これを受けた電力数社は、定格熱出力一定運転を既存の原子力発電ユニットで行った場合の安全性評価を取りまとめた「健全性評価書」を保安院へ提出していた。

国内では、すでに九州電力の玄海1・2号機ならびに川内1・2号機においては3月から、定格熱出力一定運転が開始されている。


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