[原子力産業新聞] 2002年4月18日 第2133号 <3面>

[米国] ネバダ州、ユッカ山での処分場建設を拒否

上下両院で審議を開始

米ネバダ州のK.グイン知事は8日、同州内のユッカマウンテンに使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物 (HLW) の最終処分場を建設する計画に正式に反対の意を表明した。

同地を処分場サイトとするブッシュ大統領の勧告を拒否したもので、これを受けて議会では90日間に渡ってこの問題に関する審議を開始。大統領勧告を支持してネバダ州の異議を退けるか否かについて、上下両院で票決を行うことになった。グイン知事は同計画について「不可避なものとは言い難い」と断言。国内の90%の原子力発電所から数千マイルもの道のりをかけて使用済み燃料をユッカマウンテンまで輸送する同計画の構想を批判した。

一方、米原子力エネルギー協会 (NEI) のJ.コルビン理事長は同じ日に声明を発表し、使用済み燃料を処分する最高水準設備の建設地としてユッカマウンテンか適切だと決定することは米国のエネルギーの将来にとって決定的な瞬間になるだろうと指摘。その上で、「我々が選出したリーダー達は米国のエネルギー供給保障を重視するという要請に応えるとともに、国家保障や環境にとって最も利益になるよう行動しなくてはならない」と言明した。

また、ネバダ州の拒否により、放射性廃棄物政策法に基づく手続き上、ユッカマウンテン計画を調査段階から認可申請段階に移行させるか否かの判断が議会に委ねられることになったことについて、「原子力産業界としては議会が国益を重視し同地をサイトとして認めるという形でその責任を全面的に全うするよう要請したい」と呼びかけた。

同理事長によれば、ブッシュ大統領は、20年にも及んだ科学的な調査の末に科学者達が論理的に導き出した勧告に同意したもので、原子力発電所からの使用済み燃料と軍事活動による副産物を米国民から隔離し、安全に処分するという連邦政府の義務を慎重かつ責任を持って押し進めていると評価した。また、放射性廃棄物を深地下の1か所に集中処分することの妥当性は40年以上に渡って科学者達が一致して認めるところであり、大統領の行動は正しかったと強調。信頼できる科学の最良原則に従って同様に正しい行動を取るのは議会の番だと訴えている。


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