[原子力産業新聞] 2002年4月25日 第2134号 <3面> |
[米国] エクセロン社、PBMR開発から撤退へ米での建設、不透明に米国のエクセロン社は17日、南アフリカ共和国の主導で進められていたペブルベッド・モジュール型炉 (PBMR )開発国際共同事業体から「実行可能性調査の段階が完了した時点で撤退する」との意向を明らかにした。 同計画に12.5%出資参加していたエクセロン社は、米国内で実証炉を建設すべく2003年にも建設・立地一括認可を申請したいと昨年12月に明言していた。しかしながら、発電や電力取引き、および配電を基盤とする同社の系統だった事業投資戦略を幅広い観点から見直した結果、「原子炉の供給事業は当社の基本戦略と矛盾する」との結論に達したと説明している。同社としてはこれまで、PBMR 技術の商業化への道筋が見極められる段階まで財政面や専門知識の面で大きく貢献してきており、PBMR が潜在的に有望な技術であるとの認識に依然として変化はないと強調。その上で、「共同事業体の企業には適切な専門技術と中核的な事業経験があり、この開発計画はすでに彼らが PBMR 炉を当社の発電部門であるエクセロン・ジェネレーションなど発電会社に販売できる段階に達しつつある」と指摘している。 なお、同計画のために設立された南ア・PBMR 社のD.ニコルズ社長は18日、エクセロン社の離脱によって建設計画そのものが潰れたわけではないとの声明を発表。同社長は、「エクセロン社の撤退は残念なことだが、世界市場における PBMR の長期的な実現可能性に実質的な影響はない」と強調しており、予定通りに同計画を進めていく考えであると言明した。 ニコルズ社長によるとエクセロン社が戦略の変更を理由に撤退の意志を伝えてきたのは15日のことで、PBMR の環境影響評価を含めて実行可能性調査の段階が完了するまでは開発計画に引き続き関与すると明言したことが明らかになっている。エクセロン社では今年2月、PBMR の熱心な推進者として業界内で知られていたC.マク二ール会長兼共同CEOが今月23日付けで退任する意向を表明しており、後任のO.キングズリー氏が同計画に乗り気でないという点からも、一部の業界アナリスト達は今回の事態をある程度予想していたと言われている。 なお、南ア電力公社 (ESKOM) の非規制事業部門である ESKOM エンタープライズのJ.デビア理事は、エクセロン社に代わる出資者の手配は緊急の要件ではないが、すでに関心のある国際的な企業数社と話し合いを持ちつつあることを明らかにしている。 同計画ではエクセロン社の権益12.5%のほかに ESKOM が30%、同国の産業開発公庫 (IDC) が25%、英原子燃料会社 (BNFL) が22.5%を保有。1億3,000万ランド (17億3,000万円) に相当する残りの10%については経済的な能力を有する黒人パートナー用に留保されており、デビア理事はFS調査が完了し次第、理事会に加えるとの考えを示している。 |