[原子力産業新聞] 2002年4月25日 第2134号 <3面>

[米国] 規制委員会、ポイントビーチ原発の補助給水系運転手順に問題と通達

米国原子力規制委員会 (NRC) は8日、ウィスコンシン州でポイントビーチ原子力発電所を操業するニュークリア・マネジメント社 (NMC) に対して、同発電所の補助給水系 (AFW) の運転手順について「安全上、非常に車大」とする予備的な検査結果を通達した。

この検査は昨年11月に同発電所で発見された問題について NRC が2月に完了していたもの。地震や所外電力の喪失などにより加圧空気系が故障した場合の、AFW 再循環ラインの弁の自動開閉に係わる問題だとしており、緊急時に運転員が弁の閉鎖に気づかなければ再循環水の不足からポンプの損傷と AFW 系の除熱能力低下にも繋がる可能性があるという。NRC では「通常の運転時では影響ないが、ある異常な運転状態下では AFW が誤作動するかもしれない」と指摘。NMC 側は直ちに運転手順の改定や運転員の訓練など対応策を取るとともに、AFW の改造を実施した。NRC も数週間以内に NMC と規制会議を開催する予定で、日程は後日発表する段取りになっている。

なお、NRC は通常、検査の結果を安全上の深刻度に応じて軽いものから順に「緑」、「白」、「黄」、「赤」の4段階に評定しているが、ポイントビーチ発電所・冷却系の安全性は予備的とはいえ「赤」に分類されると指摘。今後は発電所の性能を審査するため、さらなる検査と NMC との会合を実施するとしている。

AFW は運転中の発電所で問題が発生した場合に原子炉を安全に停止させたり、停止後の原子炉から継続して余熱を除染するために使われる設備。4台あるポンプのうち2台は蒸気タービン駆動で残りは電動モーター駆動だが、タービン駆動の方は各炉に1台づつ、電動ポンプは両炉に連結されている。ポンプの稼働中は損傷を防ぐために最低限の水量が必要で、そのために再循環パイプが備えつけられている。再循環ラインは加圧空気制御の弁でコントロールされており、加圧空気系が故障すると、弁は自動的に閉じるよう設計されている。


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