[原子力産業新聞] 2002年5月9日 第2135号 <1面> |
[原子力安全・保安院] もんじゅ安全審査終える経済産業省原子力安全・保安院は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開に向け、昨年6月に核燃料サイクル開発機構が申請した設置変更許可の行政庁審査を終了した。ナトリウム漏洩による影響の緩和を目的とする設備の変更や、蒸気発生器伝熱管の破損対策に対して「妥当と」の判断を下し、8日付けで原子力安全委員会および原子力委員会に諮問した。これを受け、両委員会では間もなく二次審査を開始する。 原子力安全・保安院が終えた安全審査の対象は、(1)空気に触れる環境でのナトリウム漏洩に対する設計(2)蒸気発生器の伝熱管破損対策−の2つに大別される。 サイクル機構は昨年6月の申請に、二次冷却系統でナトリウムの漏洩が発生した際、緊急にナトリウムを抜き取るための配管等改造のほか、煙や熱を感知するタイプの漏洩検出器の追加や換気空気設備改造などの設計変更を盛り込んだ。保安院ではこれらを審査した結果、ナトリウムが漏洩しても建物の健全性は損なわれないとして、「漏洩に対する設計を妥当なもの」と結論した。あわせて、ナトリウムの熱影響の安全解析を行い、漏洩したナトリウムの熱によっても建物の健全性は損なわれず、他の系統で炉心の冷却機能は十分保てると判断した。 昨年12月に新たに審査の対象となった蒸気発生器の健全性を高める設計変更に関して、サイクル機構では、水漏洩を早期に検知するためのカバーガス圧力計や放出弁を追加設置することで蒸気発生器伝熱管内の水・蒸気を急速に追い出せる設計を採用。保安院は「対策設計により冷却系の過度の圧力上昇は防止される」と評価、設計変更は妥当だとの判断を示した。 一方、これらの安全審査とは別に、ナトリウム漏洩事故の引き金となった温度計に関しては、ナトリウムの流れによる振動を防止する改良型温度計に変更するなどの申請が出されていて、設計・工事方法認可に対する審査は現在も継続中だ。このほか、保安院では安全性総点検での指摘事項への対応についても引き続き検討を加えていく。 今後安全委員会などでの二次審査に舞台を移し、妥当との答申が得られた段階で経済産業大臣から設置変更許可がおりる。地元の了解が得られた後の改造工事には、約179億円の費用が必要とされている。 |