[原子力産業新聞] 2002年5月16日 第2136号 <1面>

[原子力安全・保安院] BWR運転電力に対策を指示

経済産業省原子力安全・保安院は13日、中部電力の浜岡原子力発電所1号機(BwR、54万キロワット)で昨年11月7日に発生した余熱除去系蒸気凝縮系配管の破断および、制御棒駆動機構(CRD)ハウジング下部付近で漏洩が発見された、2件の事故について、原因究明および今後の対応をそれぞれ最終報告書として取りまとめた。再発防止のため、同様の構造のBWRを運転する電気事業者に対し適切な措置を講じるよう指示、一か月以内に結果を報告することなどを求めた。

報告書は破断事故について、発生原因を「原子炉水の放射線分解によって生じた水素と酸素が主蒸気中に含まれ、当該配管内で蒸気が凝縮していくに伴い、高濃度の水素と酸素が配管頂部に蓄積。高圧注入系の起動試験を行った際に圧力変化が生じ、配管内に付着していた貴金属の触媒作用の助けもあり、蓄積していた高濃度の水素と酸素に着火し、配管内で音速を超える速度の急速な燃焼が起こり、急激な圧力上昇が生じて、配管が破断した」と推定。今後の対応として、BWRを運転する電気事業者に対し、(1)余熱除去系蒸気系配管の撤去または配管の分岐部に弁を設置するかのいずれかの措置を取ること(2)高濃度系水素が蓄積する可能性のある箇所について、所要の設備変更か温度計設置による監視を行うこと-‐を求めるとともに、(2)については水素および酸素の蓄積量の評価と対応の方針を、一か月以内に保安院へ報告することを求めている。

また、CRDハウジング貫通部からの漏洩については、「当該部の溶接に、溶接金属としてインコネル182が用いられていたことや、応力腐食割れを生じる可能性のある残留応力が残る溶接工法が取られていたことなどから、当該部に応力腐食割れが発生し、炉水の漏洩が発生した」と原因を推定。同じくBWRを運転する電気事業者に対し、応力腐食割れに起因する亀裂による漏洩を適切な監視体制により早期に把握し、所要の対応をとることを求めるとともに、当該部に浜岡1号機と同様の金属・工法をとっているBWRのうち、これまで当該部の点検実績のないもの(女川1、福島第一・6、福島第二・1、3、柏崎刈羽1の、計5基)については、現状を把握することが重要なことから、関係する電気事業者に対して点検計画を一か月以内に策定し、また点検結果を実施後速やかに報告することを求めている。

なお保安院では、今回の事故により得られた教訓を、今後、「原子力の安全確保の取り組みに反映させていくべきであると考える」としている。


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