[原子力産業新聞] 2002年5月16日 第2136号 <1面>

[原子力安全委員会] 安全研究部門推進と明確な分離を

原子力安全委員会は13日、核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所の統合に関する意見をとりまとめた。20日に予定されている原子力二法人統合準備会議の場で、とりまとめた意見をもとに安全委としての見解を表明する方針だ。

今回とりまとめた意見には、「21世紀の人類社会において、原子力利用が欠かせないとすれば原子力安全の確保はわが国ばかりでなく、全世界にとってますます重要になる」との基本的な考え方が示され、「原子力安全が日本の国の基盤を支える技術分野の一つとして位置付けられるべき」としている。

また「原子力安全を確立・維持し、その成果を世界的公共財として提供することを可能にするためには優秀な人材や研究施設などの研究開発資産の形成・維持に長期的かつ計画的に取り組んで行くことが不可欠であり、学界-産業界との連携のもと、国の積極的な関与が求められている」との見解を示している。

さらに原子力安全委員会が安全確保、放射線防護に関する知的基盤の整備を確実にかつ効果的に実施するためには「原子力に関する基礎的・基盤的研究を体系的に実施する新法人の協力な支援が不可欠」としている。特に安全規制を支える「安全研究」を適時的確に実施すること、原子力施設の事故等に際して、その原因究明等に対し迅速に貢献すること、国や地方公共団体の行う緊急時対応を技術的に支援すること、さらには安全規制を支える人材を育成することなどにおいて、この新法人は重要な役割を担うベきであるとしている。

このほか、安全規制活動を支える「透明性」「中立性」の観点をあげ、新法人が原子力に関する基礎的・基盤的研究を体系的に実施する総合研究機関としての機能を十分発揮しうる組織であること、「安全研究」が主要業務のひとつであるべきことなどを新法人の有する性格づけとして示し、国に必要な資金を十分確保することを求めた。また「開発推進部門との明確な分離を行い、その中立性が保持しうるよう特段の配慮が不可欠」としている。


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