[原子力産業新聞] 2002年5月23日 第2137号 <3面>

[中国国務院] 電力体制改正案承認

中国国務院はこのほど国内の電力体制改正案を承認、4月11日付けで国家発展計画委員会が発表した。

この改革案は、2005年までに発電所と電力網の分離、価格競争による電力網接続、発電所からの排出物環境影響評価基準による料金徴収、発電所の直接給電を主な特徴とする全く新しい電力体制の確立を目指したもの。全般的には、独占の打破と競争原理の導入、効率化、コスト低減、料金体系の整備、資源配分の最適化、電源開発の促進、全国電力網の接続推進--などを目標に挙げており、政府の監督管理の下で行政と企業を分離し、公平な競争を行わせるとともに、開放された秩序ある、健全に発展できる電力市場体系の構築を図るとしている。

発電所と電力網の分離では、旧国家電力公司が保有する発電資産をかなり規模の大きい3〜4の全国的な独立発電会社に再編し、国務院がそれぞれに経営権を与える。国家発展委に所属する華能集団公司は直接、独立した発電会社に改変するものとする。

電力網については国家電力網公司と南方電力綱公司を設立。国家電力網は旧国家電力公司が管理する電力網資産の出資者代表となり、政府の全額出資の形で国家計画の中で単独に扱われることになる。また、華北(山東を含む)、東北(内蒙古東部を含む)、西北、華東(福建を含む)、華中(重慶、四川を含む)の5つの地域電力網有限責任会社あるいは株式会社を設立する。チベットの電力企業は国家電力網公司が管理。もう一方の南方電力網公司は広東、海南と旧国家電力公司の雲南、貴州、広西にある電力網資産で構成。それぞれが保有する電力網の純資産の割合に従って南方電力網公司に出資し、設立される。

また、電力料金体系の整備も同改革の中心的内容で、新体系は電力網接続料金、送配電料金、最終使用料金に区分される。まず、発電段階に競争制度を導入し、電力網接続料金は発電容量と市場競争によって決まることになる。依然として独占経営状態にある電力網会社の送配電料金については、厳格な効率原則やコスト制約、報奨制度の条件の下、政府が原則的に料金を決定。最終的には比較的科学的、なおかつ合理的な販売料金を設定するほか、新たに設置する国家電力監督管理委員会には監督管理権限を与えることとする。

さらに、発電所からの排出物環境影響評価基準を2005年までに制定し、料金を徴収するほか、クリーン発電を奨励する新たな制度を実施することになる。発電会社は大口利用者に直接電力供給する試みを進め、電力網会社の独占的な電力売買の枠組みを変えていくほか、農村電力管理体制の改革も引き続き推進するとしている。

国家電力公司はすでに、諸改革に向けた手記を行っており、系列の各電力会社に対しては、生産、経営への確固たる取り組みや安定化、国有資産を流出させないことなどを要請した。また、国務院の各関係省庁は統一配下の下で改革の諸業務に着手。年内にも企業再編の主要任務を達成したいとしている。(中国通信)


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.