[原子力産業新聞] 2002年5月23日 第2137号 <4面>

[原子力総合シンポジウム] 42学協会が主催

第40会原子力総合シンポジウムが21、22日に東京千代田区の内幸町ホールで開かれた。日本原子力学会をはじめ、関連の42学協会が合同主催し「豊かな未来と原子力」を基調テーマに、放射性廃棄物の処理処分や放射光源のひらく未来、JCO事故の教訓など5つのテーマがとりあげられ、それぞれ講演が行われた。

初日、「放射性廃棄物の処理処分の前進にむけて」をテーマとした講演では、富士常葉大学の徳山明氏が高レベル廃棄物地層処分の現状と課題について講演し、関連法整備や事業主体設立など処分事業立ち上げについての現状を紹介したうえで、日本でも地層処分にあたって考慮すべき数万年スケールでの安定した地質環境を国内で選定することは十分に可能との見解を示した。また今秋にも開始される処分地選定のプロセスを控え、安全な処分施設の立地に際してどのような地質条件をさけるべきかというストラテジーを具体的に、また理解を得られるよう提示していくことが重要との考え方を示した。

また商業炉としてわが国初の廃止措置を進めている東海発電所の計画と今後の課題などについて日本原子力発電の油井宏平氏が講演し、廃止措置計画の進め方、現状等について紹介した。そのなかで同氏は安全確保を第一とし、地元等の理解を得ながら進めていくことが重要とするとともに、解体等により生じる廃棄物のクリアランスレベルを具体的にどう定めていくかなどの重要課題を指摘した。

また放射性廃棄物の処分に係る安全基準の国際動向とわが国の検討課題について講演した東京大学の小佐古敏荘助教授は、今後の課題として全体を統一的に表現する安全基準はありうるか、また国際規制との整合性をどう考えるべきか、放射性廃棄物分野と放射線防護基準分野との整合をどうとるべきか、などの視点を提示し、ICRP(国際放射線防護委員会)が検討、あるいは提示している放射線防護基準や規制免除と除外、行為と介入などの重要な考え方を説明した。


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