[原子力産業新聞] 2002年5月30日 第2138号 <2面> |
[原子力安全委・専門部会] サイト開放基準検討へ原子力安全委員会の原子力安全総合専門部会が28日に開かれ、今後の原子力施設の解体に関する課題等の審議を行い、解体後の跡地利用等に関するサイト開放基準を検討課題のひとつとして今後審議していく方針を固めた。 咋年7月に安全委から原子炉施設の解体にともなう安全確保上の課題を検討するよう指示されていたものに対する回答をまとめたもので、サイト開放基準のほか、再処理等の原子炉施設以外の解体に係る安全確保の基本的な考え方や、解体中の原子炉施設の維持管理、クリアランスレベルを用いた「放射性廃棄物として扱う必要がないもの」の制度化、解体撤去以外の廃止措置に係る検討など5項目が検討されてきた。サイト開放基準については、原子炉等の施設を解体した後、その跡地利用等に際してどのような要件、基準でサイトを開放するのか安全確保の観点から具体的に定めるもの。米国やドイツなどの例では最終的に無制限開放をすることを廃止措置の最終ゴールとすることが一般的な考え方となっており、現在廃止措置中の原子力発電所に関し、そのための要件、基準等が示されている。 日本でも日本原子力発電の東海発電所が初の商業炉として廃止措置に入っているが、同発電所に関してはサイト開放の計画はない。また2000年11月にまとめられた原子力利用長期計画には「商業用発電炉の跡地は原子力発電所用地として地域社会の理解を得つつ引き続き有効に利用される必要がある」と、リプレースを前提とする考え方が示されている。一方、廃止措置計画の最終ゴールとなるサイト開放に際する要件、基準の検討は将来的な課題であることも事実。そのため、海外の例などをみながら今後同専門部会で検討を進めていくこととしたもの。 また、そのほかの課題のうち、原子炉以外の原子力施設の解体に関する基本的な考え方については、核燃料施設等の解体計画が具体化した段階で検討する必要があるとし、関連する情報の収集を行うこととした。解体中の原子炉施設の維持管理とクリアランスレベルに基づく非放射性廃棄物の制度化については、現在原子力安全・保安部会で具体的な検討が行われている途上であるとし、その検討状況をフォローアップしていくこととしている。 |