[原子力産業新聞] 2002年5月30日 第2138号 <3面> |
[英BE社] 決算で5億ポンドの損失英国の原発持株会社であるブりティッシュ・エナジー(BE)社は15日、昨年4月から今年3月末までの予備的な決算結果を公表し、電力卸売価格の劇的な低下により大幅な損失を出しながらも「業績は確実に改善されつつある」との評価を明らかにした。 2001/02年度決算では、英国内の事業で4100万ポンド(79億円)の税引き前損失を出す一方アマージェン社を通じた北米での事業で8300万ポンド(160億円)の税引き前利益が出たことから、例外項目などを含むグループ全体の税引き前の利益は前年実績の1000万ポンドから4200万ポンド(81億円)に大幅に改善した。ただし、石炭火力発電所の償却分3億ポンドや市場外の取り引きで2億900万ポンドなど合計5億3500万ポンドの例外項目を考慮すると、最終的な収支は、前年実績で5700万ポンドの税引き前収益が出たのに対して4億9300万ポンド(951億5000万円)の損失となった。また、総売上げ高も前年実績の21億2400万ポンドを若干下回り20億4900万ポンド(3955億円)に後退している。 しかし、同社のR.ジェフリー会長は、BE社としては全体的にまずまずと自己評価している点を強調。「2年前、当社は原子力のコスト基盤を3年計画で1億5000万ポンド削減するとともに発電量は690億キロワットまで増加、キロワット時あたり1.6ペンスのユニット・コストを達成するという目標を掲げた。また、北米での事業を成功させることも確約したが、2年たってこれら主要目標すべてについて着実に進展していることを伝えられるのは非常に喜ばしい」とのコメントを発表している。 同会長によると、BE社が所有する原発は今期、合計676億キロワット時を発電しており、前年からの伸び率も8%になるなど過去3年間で最も良好な実績を残した。運転コストも前年同期実績から6200万ポンド低下するなど、ユニット・コストは10%減の1.67ペンス/キロワット時を実現したことを強調した。 さらに同会長は目立った項目として次のような点を挙げている。すなわち、(1)英国内と北米で同様の事業戦略を取ったにも拘わらず結果はまったく逆で、国内で収益が3700万ポンド下落する一方、北米事業では収益が6600万ポンド増加した。(2)カナダ・オンタリオ州の電力競争市場でリース運転しているブルースB原子力発電所で操業実績が徐々に好転。休止中だったブルースA発電所でも遅くとも2003年の夏までに2基で運転再開の目処が立っている。(3)米国で50%出資しているアマージェン社の原発では年間で1基当たり1000万ポンドを越える利益が見込まれる。(4)英国内では原子炉の稼働実績が着実に改善されているにも拘わらず電力価格の急落などによって事業はリスクにさらされ続けている。 |