[原子力産業新聞] 2002年6月6日 第2139号 <2面>

[日立] 米社を買収へ

日立製作所は5月29日、陽子線治療システムビジネスの拡大を目的に、米アクシス・テクノロジー社(カリフォルニア州、以下アクシス)の株式の80%を取得することでアクシスと合意したと発表した。日立は今回の買収により、アクシスが有する高性能線形加速器(ライナック)技術を、日立が開発した陽子線治療システム「PROBEAT」に適用し、世界の陽子線治療システム市場のトップシェアを目指す。

陽子線治療は、がん治療において、深部の腫瘍部のみに照射を集中させるように陽子ビームを制御し、腫瘍を死滅させる新しい治療方法。患部への線量集中度が高いため、従来の電子線やX線などを用いた放射線治療と比べて副作用が少なく、周囲の正常細胞に大きな影響を与えることなく、がん細胞だけを治療することができる。このため、外科的治療や薬の投与による治療に比べ患者の負担が低減できるほか、現在の手法では困難な種類の病巣への適用も可能であることから、世界的に注囲を浴びている。

アクシスは陽子線治療システムで陽子を初期加速させるキーコンポーネントである小型ライナックの特許を持つ世界唯一の専門メーカー。その製品は陽子線治療システムのシンクロトロン加速器用インジェクターの他、中性子発生装置等に採用されている。


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