[原子力産業新聞] 2002年6月13日 第2140号 <1面>

[参議院] エネルギー基本法が成立

参議院は7日に開かれた本会議で、エネルギー政策基本法案を賛成206、反対27の賛成多数で可決、成立した。

エネルギー政策基本法は、国民生活の向上や国民経済の維持・発展に不可欠なエネルギーの需給に関する施策について基本方針を定め、国や地方公共団体の責務等を明確に示すとともに、エネルギーの需給施策の基本となる事項を規定した法律。甘利明衆議院議員や加納時男参議院議員を中心とする自民党資源エネルギー対策調査会・エネルギー政策小委員会のもとで議論歩車ね、原案を作成した。環境保全・エネルギーセキュリティー市場原理のバランスを図るという難題をどう克服するかの根拠を同法制定に求めた。

同法は、安定供給の確保に関しては、輸入一次エネルギーの特定の地域への過度な依存を低減するとともに、重要なエネルギー資源の開発や輸送体制の整備、備蓄およびエネルギー利用の効率化を推進することを定め、適切な危機管理を行うことで、エネルギー供給源の多様化や自給率の向上およびエネルギー安全保障を図ることを基本とする施策を講じるよう規定した。

環境への適合については、エネルギー消費の効率化や、化石燃料以外のエネルギー利用への転換及び化石燃料の効 率的な利用を推進することを掲げ、地球温暖化の防止及び地域環境の保全が図られたエネルギーの需給を実現し、併せて循環型社会の形成に向けた施策の推進が必要とした。

エネルギー市場の自由化等の経済構造改革の面で、事業者の自主性及び創造性が十分に発揮され、エネルギー需要者の利益が十分に確保されるよう、規制緩和等の施策の推進が必要とした。

また、政府は毎年、国会に、エネルギー施策に関して報告するほか、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本計画を定めなければならないとした。計画案は総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて作成し閣議決定するほか、少なくとも5年ごとに、エネルギー基本計画を再検討することも規定している。


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