[原子力産業新聞] 2002年6月13日 第2140号 <3面>

[ブルガリア原子力産業会議] 77%が「早期閉鎖に反対」

ブルガリア原子力産業会議(BULATOM)が5月22日付けで伝えたところによると、最近の世論調査で同国民の大多数が「欧州連合(EU)への加盟手続きが遅れてもコズロドイ原子力発電所の早期閉鎖要求には抵抗すべきだ」と考えていることが明らかになった。

この調査はBULATOMの委託により、前月にギャラップ社が同国の8才以上の国民1022名を対象にインタビュー形式で実施したもの。その結果、66.3%が「例えEUへの加盟手続きが遅れるようなことになったとしてもブルガリア政府は今年末までとされているコズロドイ1、2号機の閉鎖を断固として延期すべきだ」と回答。これに反対の意見は7.5%、「わからない」と答えた人は25.2%に留まった。

99年にブルガリアのI.コストフ首相(当時)とEUが同国のEU加盟手続きに関連して合意に達した内容には、「コズロドイ1、2号機は2003年までに閉鎖、3、4号機については2002年末までに最終的な閉鎖日程を明示する」が含まれていた。しかし、この件に関する質問で、「同発電所の操業は安全性の面でブルガリアと欧州にとって潜在的な脅威であり、原子炉の早期の閉鎖が必要」とする考えには77%を超える回答書が同意できないと感じていることが明らかになっている。この傾向はすべての年齢グループにおいて同様で、大学生の回答者で75%。小規模の町の住民の間では71%という結果だった。

また、69.5%が「EUの要求のウラには安全問題以外の別の理由があるに違いない」と答えており、このうち42%は理由として「経済問題」を、32%は「我が国をEUに依存させるため」を挙げていたことが明確になっている。「例え原子炉を閉鎖したとしても約束通り早期に加盟を許されるとは思えない」と回答した人の割合は約60%に上ったほか、閉鎖炉の代替についてEUが十分な保証を提供するかどうかについても「そうは思わない」との見解が57.5%と最大。32.5%が「よくわからない」と答え、「そう思う」との回答は10%に留まった。

さらに、70%以上の回答者が「EUが早期閉鎖を主張するのは他の国が発電した電力に市場を開かせるため」と考えており、90%近くが「原子炉を閉鎖すれば国内の電力価格が上昇する」と予想していることが判明した。

同国で未完成に終わったベレネ原子力発電所については59.8%が「完成させるのがよい」としたのに対し、反対意見はわずか9.3%。30.9%は「意見なし」との結果だった。しかし、コズロドイ発電所で数基、閉鎖するのと同時にベレネ発電所の建設を再開すべきかどうかについては、41.8%が「わからない」、30.2%が賛成、28.1%が「反対」と答えている。

このほか、「ブルガリアは原子炉の早期閉鎖というEUとの約束を確実に守べきだ」と答えたのは回答者の7.7%に過ぎなかった。ただし、27.8%は「ある程度守るべきだ」としたほか、20.1%が「いくつかの条件付きで守る」と回答。「守らなくてもよい」との見解は15.7%に上ったが、28.6%と最も多かった回答は「よくわからない」だった。


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