[原子力産業新聞] 2002年6月13日 第2140号 <3面>

[ボルセラ原発] 早期閉鎖延期で合意

5月31日付けのオランダの複数の主要な新聞で、次期政権の中核を担う三政党が「前政権による脱原子力政策を見直す」ことで原則的な合意に達したと報じられていたことが明かになった。

同国では5月15日の総選挙で150議席の過半数にあたる合計93議席をキリスト教民主党(CDA)、自由党(VVD)、およびフォルタイン党(LPF)の3党が獲得。中道右派政権を樹立すべく現在組閣作業中だが、前政権が2003年までとしていたボルセラ原子力発電所(48万キロワット、PWR)の早期閉鎖計画を根本的に見直し、同炉の操業を少なくとも2007年まで許すほか、可能性としては設計運転寿命の2013年まで操業させることも視野に入れるということで合意に達したと伝えられている。

97年末に経済的な理由でドーデバルト原子炉力発電所が閉鎖されて以来、ボルセラ発電所はオランダで唯一稼動する原子力発電所となった。94年の議会票決により運開後31年目にあたる2003年末時点で早期閉鎖することが決定していたが、97年の総合改良工事により安全性および稼動実績が大幅に改善されたことからどう発電所従業員らは運転の延長を政府に陳情。2003年3月には最高裁判所が「早期閉鎖は違法」との裁定を下したものの、前政権は断固これに対抗する構えを見せていた。

新政権の組閣はさらに4〜6週間を要すると見られているほか、新政権による最終政策宣言を実際に実施するには議会の承諾が必要。ただし、現在係争中の民事裁判で同発電所に有利な判断が示されたとしても、新政権が上訴する可能性は低いと産業界では予想している。


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