[原子力産業新聞] 2002年6月13日 第2140号 <5面>

[NSネット] 行動指針実践に全力

ニュークリアセイフティー・ネットワーク(NSネット)は5月31日、茨城県那珂郡東海村にあるジェー・シー・オー東海事業所(以下JCO)を対象とした、相互評価(ピアレビュー)の結果を公表した。今回対象となったJCOは、1999年9月に発生した臨界事故により加工事業の許可が取り消され、2000年3月15日付けの使用変更許可のもとで、施設内のウラン約260トンの搬出を行った。搬出完了にともない同年9月に使用量変更の届け出および、使用の目的変更などの使用変更許可申請を行い、同年11月には許可を取得している。

その結果、現在JCOでは、主として「施設の安全管理」「固体廃棄物の安全管理」の業務が行われている。

今回のレビューは、日本原燃、東北電力、東芝、九州電力、日立造船からなるレビューチームが、組織・運営、緊急時対策、教育・訓練、運転・保守、放射線防護、重大事故防止の各項目について、現場観察、関係者との面談および、書類確認により、レビューを行った。

調査の結果、レビューチームは「直ちに改善措置を施さなければ重大事故に繋がるような項目は見いだせなかった」とするとともに、事故発生の当事者としての深い反省を踏まえ、「絶対安全・絶対無事故」「基本を大事に基本を守る」の2点をJCO行動指針として掲げ、以後約2年以上にわたり、社長以下経営トップが率先垂範して「コンプライアンス(法令遵守)の所員への浸透」、「報告・連絡・相談〔ホウ・レン・ソウ)」の徹底などといった様々な安全活動に工夫しながら取り組んで来ており、「今回のレビューにおいては、これら活動が着実に全所員に浸透しつつあることが確認された」としている。さらに@安全文化醸成活動、臨界安全に関する繰り返し教育・法令勉強会などといった教育の充実、緊急時訓練の強化など、新たな取り組みが展開されているAこれら活動の動機付けとして、短期的目標の達成の積み重ねによる信用・信頼の回復に向けた取組が行われている−ことも、合わせて確認している。

なお、レビュー報告書では原子力業界に広く紹介されるべき良好事例として、@安全監査結果等を踏まえたコンプライアンスに対する認識の強化A事業所トップの率先垂範による各種安全文化醸成活動の展開B「1人KYシート」や「安全カード」等による、JCO行動指針の定着C防火管理者を中心とした防火管理委員会による活発な防火管理施策展開−を。

また、改善提案として、「トラブル事例の反映活動等の位置づけの明確化・文書化による一層の定着」、「教育・訓練の体系化および個人別履歴管理の確立」、「各作業現場への作業手順書等の配備」、「現場点検等記録類の位置づけの明確化」を、それぞれ挙げている。


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.