[原子力産業新聞] 2002年6月13日 第2140号 <6面>

[三菱電機] 半導体の微細化に道

三菱電気は5月29日、半導体の微細化を推進するための次世代リソグラフィー(NGL)技術の候補として35ナノメートルレベルの解像力が期待できる第二世代X線リソグラフィーの開発を進めた結果、そのキーとなる新規レジストを用いた微細パターン形成に成功、第二世代X線リソグラフィーの技術コンセプトを実証したことを明らかにした。今回の成果は米国での微細加工関連の国際会議で発表された。

半導体デバイスの高集積化・高速化・低消費電力化に対する要求はますます厳しくなり、年を追う毎に微細化ロードマップは加速される傾向にある。

X線リソグラフィーは薄膜の等倍マスクを使用するため、マスク精度の達成が困難であると考えられてきたが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けた技術研究組合ASETによって、4G−DRAM担当のパターンを用いた露光実験で百ナノメートル世代に対する精度が実証された。この成果を活用して、次世代半導体製造装置開発のためにパターン付き三ミリメートルウエハを半導体装置メーカに供給する微細パタン技術研究コンソーシアムが設立されている。

X線リソグラフィーの解像限界は60ナノメートルレベルと考えられており、その採用が見送られてきていた。このような課題に対して三菱電機は、X線リソグラフィーの解像力とウエハ処理能力の向上が期待できる第二世代X線リソグラフィー技術を考案した。同技術は露光システム構成要素であるX線ミラー、X線マスク、レジストの材料系を変更するだけで実現でき、従来の装置インフラがそのまま使用可能であるという特長を有する。具体的にはX線ミラーのコーティング材の変更とダイアモンド基板を用いたX線マスクの適用により、レジスト上に到達するX線の短波長成分を増加させるとともに、特定波長に対して吸収の大きい元素をレジスト中に導入することで、吸収X線の波長を短波長・狭帯域化し、解像限界を三十五ナノメートルレベルにまで拡張させると同時に、特定元素導入によりレジストのX線吸収量も増加するため、スループット向上も期待できる。

第二世代X線リソグラフィーを実現するための課題は、ダイアモンド基板のX線マスクと特定元素含有レジストだが、特にレジストは樹脂中に特定元素を導入しても、レジストとして機能する溶解特性をもつ樹脂が必要なため、その実現が不透明だった。

今回、同社は特定元素として臭素を選択してレジスト開発を行い、臭素含有レジストでパターン形成が可能であることを確認し、ダイアモンド基板マスクの実現とあわせて、第二世代X線リソグラフィーの実現可能性を世界で初めて実証した。


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