[原子力産業新聞] 2002年6月20日 第2141号 <1面>

[原産] プルトニウム利用、実効性ある推進方策を

日本原子力産業会議の燃料・リサイクル委属会(委員長・秋元勇巳・三菱マテリアル会長)はこのほど、民間の立場から今後のわが国におけるプルトニウム利用のあり方について検討することを決めた。プルトニウム利用についてエネルギー・環境、技術、社会的側面など幅広い観点から検討し、2050年頃を見通した利用方策を探っていく。プルトニウム・リサイクル社会の早期実現を図るため、実効性のある推進方策などについて民間としての考え方を明確化し、国民に向けてもアピールしていきたいとしている。具体的な議論を行うため、同委員会の下にワーキンググループを設置した。今年末に中間報告、来年中頃に最終報告書を取りまとめる予定。

わが国の原子力開発利用政策は開発当初から核燃料サイクルというウラン資源を有効活用していく路線を推進してきたが、未だに確立していない。21世紀に入り、経済社会の構造改革やエネルギー市場の自由化、環境問題の深刻化など原子力開発を取り巻く環境は大きく変わりつつある。

こうした情勢を踏まえ、同委員会では、プルトエウム利用について産業界の立場から今一度、その意義や位置付けを再確認し、リサイクル社会実現に向け、短・中・長期的観点に立った利用のあり方についてまとめ、国などに対しても提言していく考え。

ワーキンググループでは、当面は軽水炉使用済み燃料のリサイクルのあり方、生産させるプルトニウム利用等のあり方に焦点をしぼる。検討は、まずサイクル関連の内外の動向、関連施設・技術等の状況把握、またエネルギー政策、国際環境、自由化の動きなどの一般的な現状把握を行い、技術的、社会的側面での課題を整理した後、人文・社会科学者から意見を聞くことも考えている。

利用方策については、2050年頃を見通したプルトニウム利用の基本的方向性と民間としての対応策をまとめることにしている。


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