[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <1面>

[原産] 通常総会を開催

日本原子力産業会議は25日、東京都・港区のホテルフロラシオン青山で第51回通常総会を開催し、2001年度の事業報告と02年度の事業計画および予算案を審議、了承した。あわせて、任期満了に伴う役員改選が行われ、西澤潤一会長をはじめ、安部浩平、飯島宗一、金井務、小林庄一郎、森嶌昭夫、渡辺文夫、森一久各氏の副会長留任が承認された。評議員会議長には新たに山口信夫日本商工会議所会頭が選ばれた。

総会では、西澤潤一会長が冒頭挨拶の中で、「化石エネルギーを補完するエネルギー源は科学技術が生み出した原子力であり、環境の改善からも、原子力や放射線が人類の生存を保障するために応用され重要な役割を預っている」と強調。さらに、供給安定性に優れた原子力も、「事故を起こさないという安全へのたゆみない取り組みが継続されてこそ人々に安心をもって迎えられる」との考えを示し、「原子力・放射線関連業界の関係者は変化する世の中においてもものごとをよく理解したうえで、事故を未然に防ぐ技術も含め努力を怠らないことがなによりも重要」だと訴えた。来賓として出席した尾身幸次科学技術政策担当大臣は挨拶し、原子力の開発利用を進めるにあたっては「安全確保を前提条件として関係者が自己を律した対応をとる必要がある」と、安全性を第一に掲げる姿勢の重要性を指摘するとともに、今月はじめ国際熱核融合実験炉計画(ITER)で六ヶ所村を候補地として正式提案したことに触れ、「将来のエネルギー源として重要な核融合のITERの日本誘致に関してよい結論が出るよう全力で取り組みたい」との考えを強調した。

続いて、加納時男文部科学大臣政務官が来質挨拶を行い、14日に施行されたエネルギー政策基本法に関して、「エネルギー政策の原点はセキュリティと環境保全の原則の上に市場原理を活用すること」としたうえで、我が国は原子力のリサイクル性という利点を活用してプルサーマルや高速炉に利用することを国策として推進している点に言及。地方自治体もこうした国の政策に準じて施策を行うことが求められると強調した。

また、今回の総会では西澤原産会長がプルサーマル問題について所信を明らかにした。同会長はその中で、昨年の刈羽村での住民投票の結果プルサーマル実施が延期されてからの1年間、政府や民間の努力は一定の成果を挙げながらも、MOX燃料の装荷について関係自治体の了解が得られていないと指摘。過去40年間世界で2000本の実績があるMOX燃料を利用するとする考え方は世界の趨勢だとし、「安全確保に十分な配慮を払い、原子力関係者がMOX燃料の装荷に向けて一層情報公開を続ける」ことが必要としたうえで、「地元関係者は出来るだけ早く同意を決断」するよう強く求めた。


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