[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <2面>

[原子力安全・保安部会] 落下確率の評価基準

原子力安全保安部会の原子炉安全小委員会は24日、原子力発電施設への航空機落下確率に対する評価基準案をとりまとめて25日の部会に報告した。P>

原子力発電施設の設置許可に際しての安全審査では、航空機落下に対する設計上の対策の必要性の有無について一部確率論的な手法による判断が行われているが、原子力安全に対する国民への一層の説明責任を果たす観点から、技術的、専門的な検討を深め、航空機落下評価全般を対象とした標準的な手法を明示するため専門のワーキング・グループを設けて検討してきたもの。

検討の結果、新たな基準では、原子炉施設への落下確率の総和が1000万年に1回より小さいかどうかを想定の有無の判断基準として、必要な場合の具体的な評価幕準を3ケースに分けて定めている。

今回まとめた基準案によると、計器飛行式民間航空機の事故の場合に、飛行場での離着陸時における事故のケースについては、従来「付近(約10キロメートル以内)に飛行場が存在しない場合は航空機落下の想定は必要ないと判断」としていたものを「原子炉施設と飛行場との位置関係(距離と方向)を考慮し、落下確率を評価」するとの記述に改める案となっている。また航空路を巡航中の事故については従来の記述通り「原子炉施設上空に航空路が存在する場合に、巡航中の落下確率を評価」することとしている。

また有視界飛行式足間航空機の事故のケースに関しては従来「国交省等による航空規制(原子炉施設上空の飛行をできるだけ避けるように指導)により航空機落下の想定は必要ないと判断」することとしていたが「落下事故が日本全土に均一に起こりうるものと仮定し、全国平均落下確率を評価」する記述に改めるとしている。

自衛隊機あるいは米軍機の事故に関しては、訓練空域内を訓練中および訓練空域周辺を飛行中の事故について従来「原子炉施設上空に訓練空域が存在する場合は国交省等に半径2NM、高度2000フィート以内の飛行制限を要請することにより航空機落下の想定は必要ないと判断」するとの記述だったが「訓練空域内外での落下事故件数および訓練空域の全面積を基に、全国平均落下確率を評価」するとしている。また某地−訓練空域間を往復時の事故については従来「国交省等による航空規制により航空機落下の想定は必要ないと判断」するとの記述から「基地と訓練空域との往復経路と原子炉施設との位置関係を考慮し、落下確率を評価」するとの記述に改める案が示されている。


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