[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <3面>

[リトアニア] 09年までに原発閉鎖へ

リトアニア・エネルギー協会が伝えたところによると、リトアニアは欧州連合(EU)が11日にルクセンブルクで開催した外相会議の席で、イグナリナ原子力発電所2号機(RBMK、150万キロワット)を2009年までに閉鎖することで原則合意した。

合意に際し、この会議に参加したリトアニアのA.ワリオニス外相は、EU側から十分な財政支援を長期的に受けることを閉鎖の条件として付記。これは前の週に、同国のA.ブラゾースカス首相が「閉鎖に伴う資金援助が不十分なら2009年を閉鎖期限に設定することは不可能」と発言したのを受けた措置だとしている。

EUの報道官によると、イグナリナ発電所の廃止期間や細かい条件など詳細は、今のところ不明。今回の合意内容自体暫定的なものであり、両者の交渉はまだ継続中だという。しかし、同発電所の閉鎖時期はリトアニアのAU加盟交渉におけるエネルギー部分の議論の中では非常に重要だと強調している。

同報道官はまた、EU側としてはリトアニアが2004年までにEU加盟を果たす第1陣の国々に入るよう期待していると説明。第1陣には同国のほかに、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロベニア、スロバキア、ラトビア、エストニア、キプロス、およびマルタの名が上がっていることを明らかにした。(ブルガリアとルーマニアは2007年頃の加盟を目指す第2陣に入ると見込まれている。)

リトアニアは数年前、EUへの加盟交渉を開始するためにイグナリナ1号機(RBMK、150万キロワット)を2005年で早期閉鎖することに合意したが、同発電所はリトアニアで唯一の原子力発電所であり、同国の総発電電力量の8割を賄っていることから、一部の政治家や発電所幹部はこの合意を後悔していると伝えられている。

なお、ブラゾースカス首相は、「EU側が財政支援に関する具体的な交渉を始めるのは早くても2006年以降になるだろう」予想している。


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