[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <3面>

[スウェーデン] 廃止協議の可能性模索

スウェーデン議会は11日、原子力の段階的廃止について原子力産業界と協議することを提唱する新たなエネルギー法案を承認した。

この法案の内容は、同国の連立政権を担う社会民主党と緑の党および左翼党のエネ政策に関する合意により今年3月に出された提案に基づいて作られている。同法案の中で、政府は「脱原子力政策プログラムの継続について、ドイツで実現したような原子力産業界と合意に達する可能性の模索」を指摘しており、議会もこの政府案に同意。産業界の関与はエネルギー供給システムの多大な変化を伴う国家計画について、意義深くて長期的にも信頼できる合意成立への一助となるかもしれないとの考えを示している。

それと同時に議会は、この法案でバーセベック原発2号機を2003年までに閉鎖するという政府目標を忘れ去ったわけではなく、同炉の閉鎖条件が満たされたか否かの判断は議会に委ねられているとの見解を強調した。

産業アナリスト達はこの法案について、政府・社会民主党がほかの2党とともに既存原子炉の運転年数制限を設けるための協議を産業界と始める糸口になるかもしれないと分析。ドイツ式・脱原子力プログラムの第一段階に近いと評価しているが、「2010年までに国内すべての原発の閉鎖」を目標に掲げた80年の議会決議とは大分かけ離れてきたとの見方が大勢だ。

また、9月15日の国政選挙後も社会主党と連立の2党が議席の過半数を獲得するとの見方が有力だが、バーセベック2号機の閉鎖期日に関してはその他の既存炉10基とは扱いが異なり、2003年末までという日程通りに閉鎖できるかについては代替電源の確保など閉鎖条件を政府が明確に実証できるか否かにかかっているとしている。


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