[原子力産業新聞] 2002年 7月 4日 第2143号 <1面>

[G8サミット] 核物質管理体制構築へ

主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)がカナダで、現地時間の6月26、27日に開かれ、同27日(日本時間28日未明)に議長総括等を発表して閉幕した。今回のサミットではテロ対策や中東問題、アフリカ支援等が主要議題として話し合われた。またロシアの大量破壊兵器解体に今後10年間で最大200億ドルを拠出することで合意し、議長総括に盛り込まれた。次回は来年6月にフランスで開催される。

同27日、議長総括とともに、ロシアに残留する大量破壊兵器の解体と拡散防止を支援するため、今後10年間で200億ドルを上限とする資金拠出をうたった合意文書「G8グローバルーパートナーシップ」も発表され、昨年9月の米同時多発テロ以後、国際社会が懸念を深める核兵器を使用したテロに対する脅威に備え、大爆破壊兵器や核物質をテロ集団が手にすることを防ぐ国際的な管理体制を構築する姿勢が明示された。

発表された「グローバル・パートナーシップ」は「テロとの戦い」で地球規模の共闘体制を形成し、サミット全面参加が決まったロシアヘの支援の促進をめざす内容。具体的には「テロリストまたはテロりストを匿う者が、核、化学、放射性及び生物兵器、ミサイル、並びに関連物資、機材及び技術を取得または開発するのを防止するため、関連品目の管理強化や輸出管理の強化、核兵器解体等による関連物質の総量低減への努力など6つの原則に対するコミットメントに参加するよう呼びかけている。また国際的な安全保障上の目標に従い、多国間不拡散体制を支持する形で戦略的安定を高めることを目指して、不拡散、軍縮、テロ対策、及び原子力安全問題(環境問題を含む)に対処するために、各国それぞれの手段に応じて、新規または拡大された協力事業を策定し、調整し、実施し、及び資金を供給することについて2国間及び多国間で、協調して作業するため、9つの指針をとりまとめた。

またこれと関連し、今後原子力の安全及び保全に関し、次回サミットの時までにG8原子力安全・保全グループが新たに設置される方針も盛り込まれた。


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