[原子力産業新聞] 2002年 7月 4日 第2143号 <1面> |
[日本経団連] 核燃料増税問題で意見書日本経済団体連合会は1日、福島県議会で現在、核燃料に対する課税率10%への引き上げと燃料重量に課税する新税導入を盛り込んだ条例案を審議していることに関し、増税には慎重な検討が必要だとする意見書をとりまとめた。同日、秋元勇巳・日本経団連資源・エネルギー対策委員長が片山虎之助総務大臣あてに提出した。 経済活性化や産業競争力の強化に向けたエネルギー政策、地方税制改革を求めてきている日本経団連では、現行の2.4倍に相当する大幅な増税案が6月20日に福島県議会に提出されたことをうけて、地方税制を所管する総務省意見書を提出することにした。その中で、増税案は「エネルギー政策の方向性や公平・活力・簡素といった税制の基本原則からも容認し難い」とし、安易な核燃料増税に反対する姿勢を明確に表した。 意見書の内容は次の通り。 (1)電力コストの引き下げは、わが国産業の活性化、国際競争力強化のために必須の課題である。また、地球温暖化対策や安定供給確保の観点から、エネルギー自給率の向上や化石燃料以外のエネルギーへの転換の必要性がエネルギー政策基本法においても盛り込まれたところである。さらに、京都議定書の目標達成に向けた最も現実的な選択肢である原子力発電の着実な推進はわが国のエネルギー政策の基軸である。今回の核燃料税の大幅増税案はこれらの趣旨に逆行するものである。 (2)地方自治体の独自課税は慎重に行われるべきであり、納税者の受益と負担の選択の下に行われることが基本である。また、エネルギー政策基本法においても、国の施策との整合性を維持することとされており、当該課税に関しては、納税者に対する事前の説明や協議を十分に尽くすべきである。 (3)選挙権のない法人に対する安易な課税強化は、かえって住民の参加意識を低下させ、地方分権の本旨に背くものである。 (4)今回の提案は、従来の核燃料価額への課税に加え、核燃料重量へ新たな課税を行うものであり、税制の簡素化の観点から問題が多い。 |