[原子力産業新聞] 2002年 7月 4日 第2143号 <3面>

[スイス議会] 反原子力法案を否決

スイス議会の下院にあたる国民議会は6月20日、原子力法改正審議の一環として既存原子力発電所の運転年数に上限を設けることを狙った法案と、使用済み燃料の再処理禁止を求めた政府案の両方を否決した。

国民議会が審議した法案は国内で稼働する原子炉5基の運転寿命を30年から40年に規制するのを目的としており、この点については政府が昨年2月に公表した原子力法草案とは意見を異にしていた。一方、政府の提案は既存の再処理契約が終了した時点で新たな再処理契約の締結禁止条項を新原子力法に盛り込もうというもの。議会の上院にあたる全州議会は昨年、将来の再処理に関する提案については10年間の猶予期間を置くことで修正承認しているが、下院は今回、手続き上の理由でこの件についての票決を行っていない。

下院の票決結果についてスイス原子力協会(SVA)は、「新しい原子力法全体に関連して、今後数多くの条項を審議・票決する必要があるので決定的ではない」とコメント。政府の新原子力法案は、2003年末までに国民投票に掛けられることになっている2つの反原子力イニシアチブに対抗して提出されたものなので、今後再び上下両院で審議されることになると説明している。

ただしSVAは、今回の票決によって上下両院の大多数が「原子炉の運転年数に上限を設けない」とする政府見解に同意するとともに、政府が提案した。再処理の禁止に反対意見であることが明らかになったと強調。議会の認識は、スイス国民の3分の2以上が使用済み燃料の再処理オプション堅持を希望しているとの最近の世論調査結果に合致していると指摘した。


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