[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <1面>

[米国] 上院も決議案承認、2010年の処分開始をめざす

米国議会上院は9日の本会議において、ネバダ州のユッカマウンテンに使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物の最終処分場を建設する決議案を60対1119の賛成多数で承認した。5月8日の下院に続き、上院で決議案が承認されたことで、米国内で最初となる処分場をめぐって科学的な評価をもとに繰り広げられてきた20年に及ぶ激しい議論は終止符を打つことになった。

今回の上院承認を受けて、米国エネルギー省のS.エイブラハム長官は「ユッカマウンテンに唯一の廃棄物処分場を建設することで環境保全とともに米国の国家としての、またエネルギー面での安全保障が築かれる」として、現在39州の131サイトに貯蔵されている使用済み燃料が集中貯蔵されることを可能とする手続きが前進したことを高く評価した。

ユッカマウンテンは1987年、放射性廃棄物政策修正法の成立に伴い、唯一の処分場候補地として選定された。これを受け、DOEによる地質や環境面での包括的な特性調査が進められてきた。昨年にはユッカマウンテンを処分場として科学的、技術的に適切とする適性調査の結果が出されていた。

ブッシュ大統領はDOE長官からの最終的な勧告文書を受入れ、2月15日にはユッカマウンテンを処分場建設サイトとして承認していた。これに対し、一貫して反対の姿勢を表明してきたネバダ州のK.グイン知事が正式に勧告を拒否する意思を表明したことから、90日間にわたり議会でこの問題に対する審議を行ってきたもの。

ユッカマウンテンをめぐる今後の動きは米原子力規制委員会(NRC)による認可の段階に焦点が移る。DOEの計画では、処分場認可申請が2004年、処分開始は2010年が予定されている。

また、ブッシュ政権は来年度予算として約5億3000万ドルをユッカマウンテン計画のために計上している。

稼働中の原子力発電所が103基の世界最大の原子力発電国で廃棄物最終処分場建設に見通しがついたことは、我が国を含め世界的に及ぼす影響も大きいと予想される。


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