[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <2面>

[文科省・懇談会] 原子力安全規制見直しに着手

文部科学省は原子力安全規制等懇談会(座長・岡芳明東大院教授)を10日始動し、文科省の所管する研究炉や核融合等の安全規制のあり方見直しに着手した。初会合で「研究炉等安全規制検討会」と「ITER安全規制検討会」を設置した。現在重要な課題としてあがっている研究炉等の検査制度や、解体時の検査など安全規制のあり方、またITER実験炉の六ヶ所村への誘致正式提案にともなう同実験炉建設に係る安全規制の枠組み等を、当面の課題としてとりあげ、検討会で専門的な審議を進める。

研究炉等の安全規制については、従来製品に対する所定の項目について実施する検査のあり方を見直し、よりプロセスを重視し効率的な検査のあり方を検討することが課題となっている。また、供用開始してから一定期間を経た高経年の施設、あるいは、一定の大型試験炉等施設を対象に、商用原子力発電所で導入されている「定期安全レビュー」を導入することも検討課題にあがっている。また現在すでに9つの施設で解体が進んでいる状況から、解体炉の規制のあり方でも手続きや検査手法、燃焼度の低い使用済み燃料の規制等も重要な検討課題。さらにモナザイト等、安全管理のあり方が問われている核物質の適切な管理も喫緊の課題であり、こうした諸課題を勘案し同懇談会では、設置した検討会での専門的な検討を踏まえ広範な視点からの議論を行い具体的に安全規制のあり方を固めていく。

一方、ITER計画の国内誘致正式提案により、2003年中にも実際のサイト選定が行われる見通しで、日本での建設が決まれば国会審議も含めて安全規制の枠組みを固めておく必要がある。文科省では今年5月にITER安全規制チームを設けて具体的な準備に入っている。同懇談会では、考え方に沿って6月に安全委が示したITERの基本特性を踏まえた安全規制の考え方を整理したうえで、安全規制の仕組みや安全審査の基準類の整備、ITER建設に関する国際競技に係る検討事項の整理等の課題について検討を進める方針だ。

<このほか、放射性障害の防止の面では国際放射線防護委員会の1990年勧告に盛り込まれた「除外と免除」の考え方をもとに、96年にIAEAが決定した基本安全基準(BSS)における免除レベルの国内法令取り入れ等が課題となっている。現在放射線審議会で検討されているが、こうした国際的な動きに合わせた安全規制体制をいかに構築するかも重要課題に浮上している。また原子力防災の面でも、緊急被ばく医療体制の整備をはじめ、原子力軍艦モニタリング体制等の整備が具体的な課題となっている。/P>

さらには保障措置の面で、六ヶ所村の再処理施設操業等を踏まえた保障施設の効率化等の諸課題など広範な検討課題を視野に、文科省所管の安全規制について検討を進める。


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