[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <2面> |
[環境省検討会] 2段階導入はかる昨年9月に設置された「排出量取引・京都メカニズムに係る国内制度検討会」(座長=大塚直・早稲田大学教授)がこのほど、国内排出量取引制度について、京都議定書に基づく国内での温暖化対策の段階的なアプローチに沿い、2つのステップを踏んで2012年までの間に国内排出量取引を導入するとともに、排出権取引制度の導入の是非や具体的な制度設計に関する具体的な検討を進めるべきとする報告をとりまとめた。 温室効果ガスの費用効果的な排出抑制を目指し、また、京都議定書に基づく京都メカニズムの開始に備えて、国内の事業者が排出枠を設定し、その一部を取引する「国内排出量取引」制度の検討にあたってきたもので、報告書では、2008年からの京都議定書の第1約束期間に向けて、ステップ・バイ・ステップで国内排出量取引を導入することとし、第1ステップとしては、簡素で、事業者の任意参加による試行的な国内排出量取引を実施することを提言している。環境省では、我が国が京都議定書を締結したことを受け、温室効果ガスの排出量取引に関する経験の一層の蓄積が必要と考えており、同報告書を1つのガイドとして、事業者または事業者団体等が試行的に自主的な国内排出最取引を実施していく方針。 京都議定書では、国際排出量取引制度などの市場メカエズムを活用する京都メカニズムの導入を規定している。これを受け、今年3月に策定された政府の地球温暖化対策推進大綱で、「京都議定書の約束を費用効果的に達成するためには、京都メカニズムの利用が国内対策に対して補足的であるとの原則を踏まえつつ、これを適切に活用していくことが重要」としている。京都メカニズムは、民間の事業者による活用も認められている。また、実効性があり、かつ、市場メカニズムを活用した費用効果の高い方法で、国内での温室効果ガスの排出を削減する「経済的措置」の1つとして、国内の事業者等を対象とした排出量取引制度(国内排出量取引制度)を導入することについて、世界的に関心が高まっている。英国では既に今年4月から導入されており、EUでも2005年からのEU域内での排出量取引制度の開始を検討している。 |