[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <3面>

[仏政府] 電力公社を一部民営化へ

フランスで先月就任したばかりのJ−P.ラファラン首相は3日、新政権が仏電力公社(EDF)の一部を段階的に民営化していく方針であることを明らかにした。

これは同首相の議会に対する80分に及んだ新政権の政策説明の中で言及されたもので、選挙期間中にも示唆されていた。欧州エネルギー市場の活性化に寄与させるためにEDFおよびガス公社(GDF)の株式の一部を民間の投資家達に売却する一方、両社とも公社としての地位を維持させるとしているが、具体的な株式売却の日程や売却の割合などには触れていない。

ラファラン首相によると、一般的に戦略的な利益が危うくならない限り政府は競争の分野からは手を引くもの。エネルギーの領域においてフランスには国際的にも名の知れた国営企業が2つ存在しており、これらには公平かつ利害の一致したやり方で国内の公共サービスを果たす使命があるという。しかし、これらにもまた、欧州エネルギー市場において十二分に利益を得ると同時に、それぞれの産業/社会プロジェクトを遂行していくため、欧州の競争企業と対等の武器を装備する必要があると指摘した。

同首相はまた、これらの公社が有する技術ノウハウと優秀なスタッフは羨望の的として知られる資産であり、今後の発展を約束する最も貴重な保証だと強調。公共サービスの役割は継続して担わせていく一方、欧州のみならず世界の市場で協調関係を構築しつつ、それぞれの戦略を展開していくために、これら公社の株式を段階的に公開していけるよう法的な構造を改める必要があると説明している。実際の変更では公社の代表達と予備的な話し合いを持つことから始めることになるとの見通しを示した。

欧州では欧州連合(EU)が域内電力市場の開放政策を進めているが、フランスでは未だに大口の需要家にしか供給業者の選択が認められていないほか、EDFが積極的に他国の発電資産買収活動を展開している。このため、ラファラン首相が発表した政策には、このような状況に対するEUおよび他のEU加盟国からの批判をかわす目的があるのではないかと産業アナリスト達から分析されている。


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